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CDが売れない時代、なぜニコ動関連だけは盛り上がるのか?
ニワンゴ杉本社長に聞きました

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2012/07/02 08:00

 アルバム「diorama」でオリコン週間6位を獲得した米津玄師(ボカロP・ハチ)や、つんく♂作詞・作曲でCDデビューしたなあ坊豆腐@那奈など、ニコニコ動画出身のアーティストがニコ動以外の場でも活躍している。4月28日、29日には幕張メッセでフェスイベント「ニコニコ超会議」が開催され、10万人弱が来場。諸条件は違えど、来場者数だけで見ればフジロックと同規模だ。  ネットによって変化を余儀なくされ、過渡期にある音楽業界。その中にあってニコ動は、変化を起こす側でありながら、業界を活性化させている存在でもある。どうやら、ニコ動×音楽について考えることで、今後のコンテンツビジネスがどうなっていくのか、ヒントが得られそうだ。そこで今回は、株式会社ニワンゴ 代表取締役社長 杉本誠司氏にお話をうかがった。

CDが売れないのは、「うっかり、買い忘れ」が社会現象になっているから

 ニコ動のヘビーユーザーではないけれど、ホットトピックスは押さえておきたい。そんな読者の声を代表して、「今、ニコ動で人気のあるアーティストは?」と尋ねてみた。すると、杉本氏から返ってきたのは、「そう聞かれたら、『僕が好きな動画はこれです』と答えるようにしています」という返事だった。杉本氏はその真意をこう語る。

 「友達から『これいいよ』と言われて見てみたら、自分も好きになった。ニコ動で起きているのは、これだけです。従来のメディアが行なってきたのは、ランキングやCDの売上から、『これだけ売れているんだから、あなたもいいと思わないと』という、ある意味脅迫的なマーケティングでした。モノが売れるかどうかに帰結するところで、流行り廃りもコントロールされてきた。けれど、ネットが最先端のインフラになって、ソーシャル機能がついたサービスが増えて、そもそものモノの流行り方が変わったと実感しています。

 身の丈にあったものを単純に『おもしろいな』と言えるようになって、パッケージ型の音楽商品だけが楽しみの源泉ではないんじゃないかなと気づいた。知らない人に無理やり知らせる強制的なマーケティングを、一定の効果を見込んで実行することが意味のない時代になったんです。だからこそ、ネットの先端から外れないようにしたいというのであれば、みんなが楽しんでいるものってなんだろうと横目でチラチラ伺うよりも、自分が楽しい、おもしろいと思うものを追求したほうがいいじゃないかな」

株式会社ニワンゴ
代表取締役社長
杉本誠司氏

 たしかに、友人等とネット動画を共有する機会は増え、そこからファンになることは少なくない。むしろ、マスメディアからの情報でそうなる機会よりもずっと多い。

 「メジャーなアーティストを好きな度合いは、以前と変わらないんだと思います。でも、ニコ動などによって、ユーザーがアーティスト化して、聞かなきゃならないものが増えた。そうするうちに、『つい、うっかり』大好きなアーティストのCDを買うのを忘れてしまったりする。携帯の登場で、テレビが見られなくなった流れと似ていますね。

 1人ひとりにとっては『うっかり』くらいなんだけど、それが社会現象として起きているから、音楽業界の人たちにとっては『CDが売れない』と死活問題になっている。それは、メジャーなアーティストが提供するコンテンツの魅力が落ちたんじゃなく、社会状況が変わったということなんです」

ネット発のアーティストをメジャー向けにマーケティングできるか?

 一方で、ニコ動初のアーティストがメジャーデビューし、商業的な数字につながっている場合もある。冒頭で紹介した、シンガーソングライターの米津玄師こと、ハチ(ボカロP)の代表曲「マトリョシカ」は再生回数500万回を超え、なあ坊豆腐@那奈は2012年4月時点でコミュニティ人数が40,000人を突破。こうした数字を1つの指標として、ニコ動は新人発掘の場としても使われているのだ。

米津玄師の『ゴーゴー幽霊船』
とても格好良くてオススメです(編集部)

 「これまでは、素人に近い金のタマゴを発掘して、時間をかけてピカピカに磨いてからデビューさせるというやり方でした。でも、ニコ動で支持されている人たちは、ほぼ完成形に近いところまで来ているので、ちょっと磨くだけでいいんだと思います。

 とはいえ、外部からきたレコード会社さんに、ネットで生まれたアーティストのプロモーションが、時代に沿った形で成功させられるかどうか。なかなか難しいんじゃないかな。グループ会社にドワンゴ・ミュージック・エンタテイメントがありますが、運営側の意識もユーザーの意識も理解しているので、まあまあうまくやっているかなというところです」


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