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「Web1.0、Web2.0、ソーシャル、アドテクノロジー…混沌の中、同時並行で急成長」 上海で奮闘する日本人が語った、中国ビジネスのホンネ

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2012/08/08 14:00

 人口約13億人。日本の10倍以上の人口を有する中国マーケットを狙う日本企業は多い。いち早く上海に現地法人を設立し、わずか1年半弱で現地法人の黒字化を果たしたマイクロアドチャイナに、日本と中国のビジネス環境の違い、広告、メディア、インターネット業界の状況を中心に話を聞いた。

減速傾向だが、未だに高い成長率を保つ中国市場

 7月17日のロイターの発表によると、中国の景気は減速傾向にあるという(詳細:中国景気減速止まらず、やむなく旧来型の政策に依存,ロイター)。しかし、依然高い経済成長率を保っており、日本企業にとって魅力的なマーケットであることに変わりなく、進出のタイミングをうかがっている企業も多いだろう。国民性の違い、場所の違い、商習慣の違い——。中国ビジネスを成功させる秘訣を紹介した書籍や記事を、数多く目にするようになったが、具体的には何が違うのだろうか。2011年1月に上海オフィスを設立し現在は黒字化を果たしている、微告(上海)广告有限公司(以下、マイクロアドチャイナ)、総経理の森勇気氏(写真左)とセールスディレクター 高橋朋也氏(写真右)に現地でのビジネス状況を聞いた。

 マイクロアドチャイナが中国で展開している事業は、広告代理事業、アドプラットフォーム事業、広告配信事業の3つ。現状では広告代理事業が主力事業になっているという。

 「クライアントは日本企業がメインです。弊社はサイバーエージェントグループのグループ会社なので、サイバーエージェント経由で問い合わせがくることも多いです」(森氏)

 日本企業の場合、日本側が主導権を握って中国事業を進めているケースが多く、現地法人の予算決済額は決して多くないという。同社の場合も、売上の多くが日本を経由したケースのようだ。

中国と日本、生々しいビジネス環境の違い

 同社は順調に業績を伸ばしているが、中国事業を推進する上で障壁はなかったのだろうか。「今も毎日が試行錯誤の状況です。特に、日本とのビジネス環境の違いには赴任当初、相当戸惑いました」(森氏)。では、どのような環境の違いがあるのだろうか。営業手法、商習慣、人材という3つの視点から中国と日本の違いを紹介していこう。

新規アポイントでの営業は非効率

 中国ビジネスを語る上で“人脈重視”はよく耳にする話だが、どうやら誇張ではないようだ。

 「中国では紹介から営業を行うのがほとんどで、まさに人脈命の社会です。紹介もなく、電話でアポイントがとれる確率は低く、人脈での紹介等でスムーズに事が運ぶことが多いです。弊社の場合はグループが投資会社を運営しているので、そのコネクションを利用して、クライアントやメディアを紹介してもらっています」(森氏)

 また、中国ではコミュニケーションツールとしてチャットがよく利用されているが、人脈構築ツールとしての側面もあるという。

 「名刺にチャットのアカウントを記載しておくのは当たり前で、チャットがビジネスツール、人脈構築ツールとして定着しています。最初は現地スタッフがチャットばかりしているので、さぼっているのかと思っていましたが違いました。日本だとチャットばかりしている人はさぼっているイメージですが、彼らは仕事をしています」(高橋氏)

前金での仕事が当たり前

 人脈最優先以外にも、中国独特の商習慣がある。例えば支払条件についてだ。中国では全般的に企業への信用が低いため、前金での仕事が一般的だという。

 「全額前金、もしくはどんなに低くても半額前金での仕事が当たり前です。制作物の場合、発注後に発注を反故にするケースもあります。理由は、制作期間中に必要なくなってしまったから。このように、日本では考えられない形でビジネスが進むケースもあります」(高橋氏)

会社への忠誠心が薄いビジネスパーソン

 労働に対する意識も、日本との違いが大きい。中国のビジネスパーソンは個人主義の傾向が非常に強く、会社への忠誠心は薄いようだ。現在勤めている会社よりも高い給料が提示されれば、次々と転職してしまうので企業文化が育ちにくい環境にあるという。そのような人材をどのようにマネジメントしていくのか、頭を抱えている経営者は多いのではないかと森氏は予想する。

 「日本人の経営者向けに、中国人のマネジメントをテーマにしたセミナーがたくさん開催されています。赴任当初は、なぜここまで多いのか理由がわかりませんでしたが、現地での採用を経験することで、だんだんわかってきました。中国人と日本人では、労働に対する意識がまったく違うため、日本流のマネジメントだけでは強い組織は作れません」(森氏)

 このように、日本とまったく違う環境の中でビジネスを行う必要があるわけだ。続いて、MarkeZine読者の興味が高い、広告、メディア、インターネット業界の状況について紹介しよう。


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著者プロフィール

  • 押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

    メディア編集第2部 部長 兼 MarkeZine編集部 編集長1978年生まれ。立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、『MarkeZine(マーケジン)』の立ち上げに参画。2006年5月のサイトスタート以降、MarkeZineの企画・運営を一貫し...

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