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リスティング広告市場のアドテクノロジー活用から読み解く、ディスプレイ広告市場の未来(前編)

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2012/07/23 08:00

 これから2回にわたり、リスティング広告と自動入札ツールの市場動向について紹介する。ディスプレイ広告市場よりに先にアドテクノロジーの活用がはじまっていたリスティング広告市場は今どのような状況となっているのだろうか。この記事では今年、自動入札ツールの導入が急増した背景について考察していく。

自動化に向かうインターネット広告流通

 アドテクノロジーという言葉は、いま主に第三者配信サーバーやDSP(Demand-Side Platform) 、アドエクスチェンジ、SSP(Supply-Side Platform)などディスプレイ広告流通周辺の新しいサービスや技術にフォーカスしている。だがそのお隣のリスティング広告市場では、ずいぶん前からアドテクノロジーが海外から日本に持ち込まれた。

 本稿では、ディスプレイ広告市場より、流通の自動化において少し先輩格ともいえる、「リスティング広告市場と自動入札ツール」について紹介する。これまでの経緯や現状、そして今後を知ることは、ディスプレイ広告の市場で起こっている流通の変化とは決して無縁ではない。

 少しニッチな市場の話だが、ディスプレイ広告の市場の流通の現状や今後を見る上でも、多少なりは参考にしていただけると思う。

あれから3年、自動入札ツールのその後

 自動入札ツールとはGoogleやYahoo!のリスティング広告の出稿・運用において、その入札を自動的に最適化させるソフトウェアのことである。

 2008年頃にネット広告業界では、広告代理店による自動入札ツールの導入ラッシュが起こった。シード・プランニングでは、今からちょうど3年ほど前に国内の市場動向を調査した(参考記事:自動入札管理ツール誕生の背景)。

 当時、自動入札ツールは、海外からの先進的なアドテクノロジーとして迎えられ、広告主向けのソリューションとして、幅広い普及が期待された。大手広告代理店各社は、海外の有力ツールベンダーと独占的な契約を結び、独自推奨のテクノロジーとして、広告主に対するソリューションとして提案した。

 だが結果的には、当初期待されたほど普及することはなく、大手のECサイト運営者や旅行会社のように膨大な広告予算と出稿キーワード数を持つ一部の大手広告主への普及に留まった。

 その後ネット広告業界では、自動入札ツールに関する話題をあまり聞かなくなった。時折業界関係者に、その話題を振ってみても、あまりポジティブな話は聞かれなくなった。話題の中心は、アドネットワークやDSP、アドエクスチェンジなど、ディスプレイ広告に関連するテクノロジーへと移った。

 当初特定の広告代理店と独占契約により日本に参入した海外ツールベンダーは、独占契約をとりやめる動向が相次ぎ、また、2008年に日本法人を設立して参入した欧州のTrade Doubler社は、2010年6月にtdサーチウェア(旧Bid Buddy)のサービスを終了し、日本市場から撤退するなど、業界の自動入札ツールに対する熱は冷めていった。

 自動入札ツールは、当時ネット広告業界が期待したような普及はみられなかった。その理由はなぜか?

 例えばこんな話がある。ある広告主向けに、広告代理店が自動入札ツールを導入して運用をした結果、売上が減少してしまったという話だ。

 これは、広告代理店が、広告主のために自動入札ツールを導入したが、費用対効果が改善され、広告主は目標とするコンバージョン数をより少ない予算で達成することができた。

 そこで広告主はリスティング広告の予算を削減したという話だ。

 広告主からすれば当然の行動である。しかし、広告代理店の立場からすると、理想的な結果ではない。これでは、広告代理店にとっては「自らが新しいテクノロジーを導入し、自らの売上を減らす」というジレンマにも陥りかねない。


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著者プロフィール

  • 野下 智之(ノシタ トモユキ)

    株式会社デジタルインファクト 代表 ExchangeWire.jp 編集長1983年設立の市場踏査会社、株式会社シード・プランニングの独立プロジェクトとして、2014年10月にデジタルインファクト(Digital InFact)を設立、2016年4月に法人化。デジタル領域を対象とする市場・サービス評価機関...

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