電子書籍専用端末の利用率は11%
ICT総研は、2013年度の電子書籍コンテンツ需要予測に関する調査結果をまとめた。2012年度の電子書籍コンテンツ市場は729億円。電子書籍コンテンツ市場全体で、2013年度に1050億円(2011年度比1.5倍)、2016年度には1850億円(同2.8倍)に達すると見込み。
電子書籍閲覧端末は出荷台数の好調ぶりが光る。従来の売れ筋だった10インチクラスのタブレットに加え、iPad mini、Nexus7、Kindle Fire HDなど、7インチタブレットのラインナップが充実したことにより、タブレット端末の出荷台数が大きく増加。2012年度 前年比1.8倍の549万台を記録した。
そのうち電子書籍専用端末の構成比は11%だが、前年比2.3倍の60万台と順調で、2015年度に電子書籍閲覧端末の出荷台数は1010万台、2016年度には1133万台(2011年度比3.8倍)に達する見込み。また、スマートフォンが大画面化してきたことにより、スマートフォンを利用して電子書籍を読むユーザーも増えており、閲覧端末の選択肢は広がる傾向にある。
電子書籍ストアは分散乱立
インターネットユーザー1万2000人に電子書籍ストアの利用について尋ねたところ、電子ブック楽天「kobo」が利用率2.5%でトップとなった。アマゾンの「Kindleストア」が2.1%、アップルの「iBookstore」が1.4%でこれに続いた。その他の電子書籍ストアは利用率1%以下が大勢を占める結果となり、電子書籍ストアが乱立して利用者が分散している実態が明らかになった。同じ回答者に質問した電子新聞の利用率と比べると、その利用率の低さが際立つ。
電子書籍ストアは現在、電子書籍メーカー、書店、コンテンツ事業者などさまざまなプレーヤーがそれぞれのやり方で展開しているが、書籍の取扱点数も十分でなく、ストアごとの専門性(強み)も分かりにくい。今後は、よりユーザーにとって使いやすいストアに収れんしていく必要がありそうだ。一方、電子新聞に関しては、全国紙を中心に一部コンテンツの有料化が進んでおり、徐々に登録会員数も伸びている。
ストア満足度1位は「honto」
電子書籍ストアの利用者に、各ストアの満足度を尋ね、100点満点換算すると、「honto」が75.3ポイントでトップ、「eBookjapan」と「DMM Books」が74.3ポイントでこれに続いた。
「honto」は、大日本印刷・NTTドコモ・丸善CHIホールディングスの共同出資会社トゥ・ディファクトが運営する電子書籍ストアで、コンテンツや書店で蓄積したノウハウを生かしたストア作りが特徴的。だが、いずれのストアも僅差となっており、ユーザーが現在利用している電子書籍ストアに不満を持っているとまでは言えないが、どれか1つのサービスを選択する決定的な動機もない状態だと言えそうだ。
【本調査における定義】
- 電子書籍コンテンツ ・・・ デジタル化された書籍、コミック、雑誌を含めるが、新聞は除くものと定義。
- 電子書籍閲覧端末 ・・・ タブレット端末と電子書籍専用端末を合算したものと定義。
- 電子書籍専用端末 ・・・ インターネットに接続可能で、電子書籍閲覧を主目的として設計された端末。
【本資料の調査結果・推計データについて】
- 本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
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