「The Cannes Lions International Festival of Creativity(以下、カンヌ広告祭)」は今年1月、クリエイティブなアイデアを実現するテクノロジーとイノベーションにフォーカスしたカテゴリー「Innovation Lions」を新設すると発表した。これは、個別のプロダクトではなく、新たなクリエイティブ・コミュニケーションを可能にするテクノロジーに対して与えられるもので、アプリ、ツール、プログラム、ハードウェアなど形態は問わない。
今年で60年目を迎えるカンヌ広告祭は6月16~22日に開催。「Innovation Lions」はIntelがスポンサーとなり、2日間にわたって25のプレゼンテーションが行なわれた。「Chrome Web Lab」(Google Creative Lab)、「Nike+ Kinect Training」(AKQA London)、「necomimi」(Dentsu)など、世界各国の競合がエントリーしてプレゼンテーションを行ったが、この部門初の受賞を果たしたのは、米国The Barbarian Groupの「Cinder: Advertising Goes Open Source」だった。
「Cinder」は、プロフェッショナルでクリエイディブなコーディングのために開発されたオープンソースのC++ライブラリで、Mac OS X、Windows、iPhone、iPadなどのプラットフォームに対応。グラフィック、ビデオ、ネットワーク、画像処理などを直観的にプログラミングすることができる。もともとは、アップルのiTunesヴィジュアライザーの実装のためにインハウスツールとして開発されたもので、のちに雑誌『Esquire』のAR(拡張現実)特集号にも使われた。
Cinderは、身体の動きに反応するインスタレーション、モバイルアプリ、音楽のヴィジュアライザー、スクリーンセイバーなどの開発のために世界中のデザイン会社で使われている。しかし、C++は決してやさしい言語ではない。なぜCinderがC++ライブラリとして実装されたのかについて、Cinderの公式サイトでは、C++はパワーとパフォーマンスが優れていること、非常に成熟し安定した言語であること、クリエイティブなコーディングのためのライブラリが無数にあることなどを挙げている。
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