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fladdictさんが考える「手触りのあるアプリ」(後編)
ビジネスと手触り、デザイナーがコーディングを学ぶための方法

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2013/08/09 12:00

 手触りのあるアプリをつくること。それは開発の現場では容易なことではない。しかし「方法はある」とfladdictさんは言う。ビジネスに手触りを持ちこむ方法、そして感性を磨くためのさまざまなアイデア。WebSig会議vol.33で行なわれた講演の後半をお届けする。

ビジネスと手触り

 6月29日に行われた、WebSig会議vol.33「感覚的アプローチからのスマホUIデザイン」(会場:ミクシィ セミナールーム)で、「手触りと美的センスについて」をテーマに講演を行った、iPhoneアプリ作家のfladdictこと深津貴之氏。前半では、手触りがアプリユーザーにどう情報を伝えるのかについて説明してきたが、後半では視点を変えて、ビジネスにおいて手触りがどのような強みをもたらすのかについて話を進めた。

 手触りによって、技術レベルの差を無効化したり、互角の技術だったときに差別化することができると深津氏は言う。

「ユーザーや投資家は技術にお金を出しているのではなく、技術をどう製品に落とし込んだかということにお金を出している。2つの会社があって、2秒くらいでデータをセーブできる会社、3秒かかる会社がある場合、技術的には後者が負けるかもしれない。でも、アニメーションを使ってストレスを軽減することで、実際には技術的には劣っていても体感速度を上げることで、技術的な不利をカバーすることもできる。」

手触りにこだわったアプリは、なぜ少ないのか

 しかし、手触りにこだわったアプリは少ない。それはなぜか。

 ひとつは人材の問題。手触りは感覚的な要素と技術的な要素が混ざるところなので、プログラム思考のできるデザイナーとデザイン思考のできるプログラマーが必要になる。数値的なスペックの外で判断できる意思決定者の存在も重要だ。手触りのメリットを理解している意思決定者がいないと「手触りなんてどうでもいいから機能をひたすら入れろ」ということになってしまう。

「日本のガラケーのほうが性能的には良かったのに、性能の差異を全部iPhoneがひっくり返してしまった。電子書籍リーダーでも同じことがKindleに言える。手触りや研ぎすましたところは、(ビジネスの)戦局をひっくり返す重要な要素になったりするので、もっと意識されるとうれしい。」

 もうひとつ、予算や工数の問題もある。たいていの開発プロジェクトは締切前になるとデスマーチの様相を呈して、機能要件を満たすだけで終わってしまう。「手触りなんかやってるくらいなら機能をひとつでも増やせ」と言われてしまう。

 もうひとつは開発スタイルの問題。「手触りは仕様書ベースでやっているととても難しい」と深津氏は言う。仕様書に「ここの部分は、いい感じに動きます」と書いてもほぼ伝わらない。逆にテクニカルに「アニメーションAにおいて、このオブジェクトが0.3秒使って座標1から座標2に移動したあとに、コントロールポイントの角度は何度のイージングで加速したあとに到達する」と書いても、これまたさっぱり伝わらない。仕様書を使って手触りを伝えるのは非常に難しいのだ。


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