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スタートアップにこそCMOとCDOが必要。ストラテジーに入り込むマーケティングとデザインの重要性


 スタートアップ企業のマナボは現在、戦略に根差したデザインとマーケティングを実現するために、THE GUILDの深津貴之氏およびBloom&Co.の彌野泰弘氏等と共に挑戦を行っている。詳しい取組みと、現在のスタートアップが抱える課題および、その解決方法について聞いた。

スタートアップの実情と、課題解決法を探る

 スタートアップにこそ、マーケティングとデザインが必要。そのような考えのもと12月に開催されるイベント、「HEART CATCH 2015」をご存知だろうか? スタートアップ企業に対して、マーケティングとデザイン、そしてプレゼンテーションのスキルを強化するプログラムを約2か月間提供。その成果を発表するというものだ。

 同イベントに参加するスタートアップ企業のマナボと、メンターを努めるTHE GUILDの深津貴之氏およびBloom&Co.の彌野泰弘氏に、マナボが行なっているチャレンジと、現在スタートアップが抱える課題および、その解決方法について聞いた。

左から株式会社マナボ取締役Co-Founder廣田達宣氏、代表取締役社長Founder and CEO三橋克仁氏、執行役員CFO角田耕一氏、取締役Co-Founder and CTO山下大介氏 株式会社Bloom&Co.代表取締役CEO彌野泰弘氏、株式会社 THE GUILD代表取締役/インタラクティブデザイナー 深津貴之氏
左から株式会社マナボ Co-Founder 廣田達宣氏、代表取締役社長 Founder and CEO 三橋克仁氏
執行役員 CFO 角田耕一氏、取締役 Co-Founder and CTO 山下大介氏
株式会社Bloom&Co. 代表取締役 彌野泰弘氏
株式会社 THE GUILD 代表取締役/インタラクティブデザイナー 深津貴之氏

 2012年に設立されたマナボは、スマートフォンで個別指導が受けられる教育サービス、スマホ家庭教師「mana.bo」の提供を行っている。同社に専任のマーケティング担当者が参加したのは、昨年2014年の10月。まさに、「mana.bo」の展開を開始するタイミングだった。

“オーガニックな成長の実現”がマーケティングの本質

 「マーケティングの重要性は感じていますが、私たちスタートアップにとって、事業戦略レベルのマーケティングを考えられる実力のあるマーケターに入社してもらうことは難しい」と角田氏は語る。サービス開始当初は創業メンバーのうち、リスティング広告運用の経験者がマーケティングを兼務していたとう。だが、消費者に向けて実際にプロダクトを提供する段階になり、実際に広告周りを見られる人材が必要だと考え、サービスの広告運用やPR周りを主な領域として任せられる、デジタル広告の運用経験者を採用した。

 「多くのスタートアップを見てきたが、ネット広告を開始するタイミングで広告運用のためのマーケティング担当者を採用するのは自然な流れ」と彌野氏。同氏はP&GにてSK-Ⅱ等のマーケティングを担当し、DeNAにてマーケティング本部本部長を務めた人物。現在、スタートアップに向けたマーケティング面でのコンサルティングも行っている。

 スタートアップの創設メンバーはプロダクト開発ができるエンジニアと資金調達やビジネス周りに明るい人材の組み合わせが多いという。プロダクトを作ることから始まり、プロダクトの成長に合わせてマーケティングなどの各領域を強化してゆくのだ。この流れから見ると、マナボも王道のルートを進んでいるといえる。

 「これはマナボが優秀なスタートアップで、順調に進んでいるということです。同時に、マーケティングの定義が、広告を効率よく運用することになっている結果でもあります」と彌野氏は指摘する。

 「マーケティングの本質は、広告や営業を不要にすること。宣伝や営業がなくても、オーガニックグロース(自己成長)できるようになるための仕組みを作ることです。本当は、資金規模が小さいスタートアップこそ、お金をかけないオーガニックグロースが必要。初期段階こそ、オーガニックグロースを実現できる仕組みを考えることが重要です。だから、そのための仕組みづくりをミッションとしたCMOがいるといい」(彌野氏)

 だが、そこでぶつかる壁がマーケターの採用難易度だ。人材市場に存在するマーケティング経験者の多くは、デジタル広告の運用経験者か、大企業で大量の資金を投下するマスマーケティング経験者、または広告宣伝の経験を積んだ広告代理店出身者のいずれかである。そのため、サービスのオーガニックグロースを実現するためのマーケティング戦略を考えた経験があるCMOを採用することは現状では非常に難しい。このような状況で、スタートアップは何から取り組めばよいのだろうか? 彌野氏は、オーガニックグロースを考えられるようなマーケティング担当者をサーチしながらも、並行して、社内での思考や議論の主語を常に「ユーザー」にして考える習慣を作ることが一番大切だと説く。

 サービスは「誰」が「なぜ」使うのか、ユーザーとは「どのような人」なのか。ユーザーがサービスを知り、興味を持ち、使い始め、使い続け、お金を払ってもいいと思う必然性を設計することが最も重要なのだ。多くの成功しているスタートアップでは主語が「ユーザー」であり、伸び悩むスタートアップの多くは主語が「我々のやりたいこと」ないし「プロダクトのあるべき姿」になっているという。

 「常に顧客視点に立ち、オーガニックを増やす仕組みづくりを意識する。すると、自然とお客さんが使い続けてくれるものをつくることが目標になる。この目標に立つと、やるべきことはお客さんの声を聞くことになる。まずは、そこから始めるのが良いと思います」(彌野氏)

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2015/12/01 08:39 https://markezine.jp/article/detail/23479

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