3年前からネット広告に注力
MarkeZine編集部(以下、MZ):インフルエンサーマーケティング事業についてお伺いする前に、自己紹介からお願いします。
田中:私は取締役として、広告部および『Seventeen』『non-no』『LEE』など複数の女性ファッション誌の編集部を統括しています。もともとは女性誌の編集にずっと携わっており、2年前から広告部も担当するようになりました。
福田:私は男性ファッション誌の編集を経て、2014年から広告部に異動しました。その際にインターネット広告課が新設されたので、立ち上げ当初から携わり、現在は課長を務めています。
MZ:インターネット広告課が設立されたのはなぜでしょうか。
福田:弊社ではファッション誌を中心に、Webサイトの立ち上げを早い段階で進めていました。それにあわせて、クライアントの皆さまから雑誌広告とWebサイトを連動させた取り組みをしたいという声が大きくなってきたので、その声に応えるために立ち上げました。
事業を行う環境は整っていた
MZ:メディアミックスでの提案のニーズが高まったということですね。今回、インフルエンサー事業を立ち上げた背景について教えてください。
田中:編集部に長年所属している中で、読者の力はすごいと常々感じていました。例えば30代から40代の既婚女性をターゲットにしたファッション誌『LEE』では、選ばれた読者に自分たちがお買い物したものをブログに上げてもらう「LEE100人隊」という取り組みを10年以上前から行っています。始めた当時から人気企画になり、今思えばSNSの走りだったのかなと思います。
これまでもファッション誌では、モデルやスタイリストなどが活躍し、大きな影響力を持っていましたが、ブログやSNSの登場で、より読者に近い存在のファッションやライフスタイルなどが共感を得るようになっています。実際に、LEE100人隊の投稿をきっかけにして商品が売れたり、マーケティング部門の方がトレンドを探るために投稿を見ているとお聞きしたりと、インフルエンサーマーケティングに近いことが知らず知らずのうちに行われていたのです。
MZ:以前から読者の持つ影響力に注目していたということですね。
田中:その通りです。さらにSNSが社会に浸透し、個人の発信力がこれまで以上に高い昨今では、私たちが普段お付き合いのあるモデルやタレントの方なども、強力なインフルエンサーとなっています。
そこで、雑誌で活躍するモデルやスタイリストなど、さらには読者まで巻き込んで、雑誌ならではの強みを活かした事業をできないかと考えた時に浮かんだのが、インフルエンサーマーケティング事業でした。同事業であれば、各雑誌に絆を育んできたインフルエンサーたちがたくさんいて、それぞれ異なるターゲット層にアプローチが可能になるのも魅力的だと思いました。