ヤフーの親会社であるZホールディングス(以下、ZHD)とLINEは、11月18日、経営統合することで基本合意し、同日17時から共同記者会見を行った。
背景には"2つの危機感”が
ZHD CEO 川邊 健太郎氏とLINE CEO 出澤 剛氏は、互いの企業のコーポレートカラーのネクタイを締めて登場。
出澤氏は冒頭、「ここ数年、年に1度くらい情報交換の場を設けていただき、川邊さんから『大きいことをしよう』と誘われていたが至らなかった。でも今回思うところがあり、統合を決意した」と述べ、そのきっかけとして2つの危機感を挙げた。
ひとつは北米や中国をはじめとする、グローバルテックジャイアントの存在だ。出澤氏は「ネット産業は人やお金、データが、強いところに一極集中してしまう”勝者総取り”が起きやすい」と課題感を示した。もうひとつは、テクノロジーを通じた課題解決。川邊氏は「労働人口の減少や生産性の低下、自然災害への対応など、ITで解決できる日本の課題がまだまだあるが、やり切れていない」と述べた。
その上で川邊氏は、統合会社をラグビーワールドカップになぞらえ、「最強のOne Teamを目指していきたい」と意気込みを語った。
集中投資のポイントは"AI”
統合会社のビジョンは、日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー。出澤氏は「今後、両社のサービス群の中心になるのがテクノロジーであり、AI」とし、それによる新しい課題解決に向けて集中投資を行うと宣言。「新しい価値を創造して、利用者の生活に資する存在になる」と述べた。
また川邊氏は、海外プラットフォーマーとの関係性について、国産プラットフォームとして、国内ユーザーの利便性に特化したサービスを提供していくことを表明。「日本のユーザーにとって『もうひとつの選択肢』として存在していきたい」と意欲を語った。
両社はサービスをシームレスに連携させることで、相互送客によるユーザー基盤の最大化を図る。具体的には、LINEは若年層、ヤフーはPC時代からのシニア層を中心とする顧客基盤を活かすとともに、メッセージ、Eコマースなどの各サービスにおいて、それぞれの弱い点を補い合っていく。
マーケティング領域におけるシナジーは?
マーケティング領域における統合のシナジーについては、両社のマルチビッグデータを活用することで、企業のより効率的なマーケティング活動を支援する。また新たな広告領域として、O2OおよびOMO 分野を両社で協働して開拓していく。
また集客におけるシナジーに関しては、LINEのコミュニケーションプラットフォームと、ヤフーショッピングをはじめとするヤフーのEコマースが連携することにより、ZHDグループの各サービスへの集客効果が期待される。また、ユーザーにダイレクトにアクセスすることができるLINE公式アカウントの活用により、統合会社におけるユーザーの利用増や、リテンション率の向上を実現していく。
統合完了の見通しは、2020年10月
統合後の構造は以下の通り。両社は最終契約締結を2019年末~2020年年始に行い、2020年10月までに統合を完了させる見通しだ。
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