アドベリフィケーション・ソリューションを提供するIntegral Ad Science(IAS)は2020年1月30日、アジア太平洋地域(APAC)4ヵ国のインターネット広告関係者を対象にした意識調査の結果をまとめた「Industry Pulse 2020」を発表。業界関係者が2020年にどのような課題に直面し、どこにチャンスを見出しているのか分析し、解説をレポートにまとめた。
2020年の注目トレンドは「OTT」「アドベリフィケーション」「コンテキスト・ターゲティング」
APACではオーバー・ザ・トップ(OTT)動画配信サービスの利用者数が増加を続けており、2020年の普及率は地域全体で37%に、日本も19%に達する見込みだ。業界関係者らはここに新たなチャンスを見出し、従来型のTV広告からコネクテッドTV(CTV)とOTTへのシフトが加速すると予測した。
メディア品質の向上も2020年の最優先課題のひとつだ。アンケートでは、半数以上がビューアビリティ計測とブランドセーフティとブランド適合性に関する対策の積極的な実施を検討しおり、45%がアドフラウド対策を検討していると回答した。85%が、業界全体でメディア品質のリスクを正確に計測し、的確な対策でリスクを最小化するために、アドベリフィケーションの重要性が高まるだろうと回答した。
データプライバシーに関する規制強化を受け、再び注目を集めているのがコンテキスト・ターゲティングだ。回答者の約8割が、望ましいターゲットに広告を届けるためにコンテキスト・ターゲティングの使用が拡大すると回答しており、増大する運用型広告とコンテキスト・ターゲティングを効果的に組み合わせられるソリューションが求められている。
重要課題は「キャンペーンROIの評価」「ソーシャルメディアの透明性向上」「アドフラウド」に
2020年に業界が直面する最も重要な課題に挙げられたのが、インターネット広告の正確な計測とROI評価だった。デジタルシフトにともない増大するインターネット広告予算がどれくらいビジネスゴールに貢献しているのか、正確なデータと評価方法の確立は多くの業界関係者が模索するところだ。
また、半数以上の回答者がソーシャルメディアの透明性を改善すべきだと訴えている。ソーシャルメディア広告キャンペーンにおけるアドフラウドへの懸念も高まっており、アドフラウドの問題が2020年のソーシャルメディア広告費にマイナス影響を与える可能性を指摘した関係者は44%にも上った。
アドフラウドの一般的な認知は向上しているものの、実態の把握やアドフラウドの手法の理解は進んでいない。回答者のおよそ3割は、自社の標準的な広告キャンペーンまたは広告在庫におけるアドフラウド率は世界平均よりも低いと認識しおり、2割は自社のアドフラウド率が世界平均を上回っているか、下回っているかわからないと回答している。アドフラウドの正しい知識を持った担当者の育成が急務だ。
【調査概要】
調査主体:IAS
調査対象:日本、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの4ヵ国168名のインターネット広告関係者
調査方法:前年に直面した課題や今後12ヵ月以内に予測されるトレンドなどについてのアンケート調査
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