新しい才能を発掘する場としてのSNS
「マイスペース」のユニークユーザー数は、世界中で1億1700万人(数字は2008年3月時点)。オープン型SNSのためコンテンツの検索が容易で、登録ユーザーでなくても自由にコンテンツを見ることができるのが特徴だ。また、マイスペースは、アーティストやクリエイター、音楽ファンが集まるSNSとして知られ、全世界で800万組のアーティストが登録。国内でも登録アーティストは5万5000組を超えている。
マイスペースは、音楽をベースとしてコミュニケーションの広がりを背景に、「アーティスト・クリエイター支援プロジェクト」を、オフィシャル・パートナー企業と共に展開。発掘した才能を支援し、新たなコンテンツの創造とビジネス拡大を図ろうとしている。
新しい才能を発掘する場としてのSNS
このプロジェクトには、メジャーレーベル、インディーズレーベル、CDショップ、プロダクション、放送メディアなどを含む33社が名を連ねており、5月20日に行われた発表会には、マイスペースと共に、イクスピアリ(ライブハウス)、HMVジャパン(CDショップ)、フォーライフミュージックエンタテイメント(レコード会社)、ブイキューブ(コンテンツ配信サービス)の4社が登場。マイスペース株式会社代表取締役社長の大蘿氏は、これらの企業と連携しながらマイスペースで新たな才能を発掘し、イベントやCDリリースなどを通じて世に送り出す場としてSNSを活用する構想を発表した。
HMVジャパンとは、店舗でインストアライブを行ったり、マイスペースのアーティストプロフィールに、HMVが取り扱うCDなどの商品情報を貼り付ける「ストア機能」を提供し、CDやDVDのアフィリエイト販売を可能にするとしている。また、ブイキューブの映像配信技術によって、プロフィールにライブイベントの生中継機能を追加。ライブハウスだけでなく、自宅からでもライブ映像やメッセージを手軽に配信することが可能になる。
発表会でライブを行った「Sweet Vacation」の2人は、マイスペースを情報発信のベースとして活動するアーティストとして、「有名だから使い始めたが、世界中の同世代から反響が得られるマイスペースは本当にすごい」と、その魅力を語った。
FacebookとMySpace、日本でブレイクするのはどっち?
音楽によるコミュニケーションをベースに、日本のSNS市場でユーザーを増やしていきたいマイスペースだが、現在のところ国内の数字は明らかにしていない。前日には競合するFacebookのCEOが来日して日本語対応についての記者発表会を行ったばかり。米国の大学を中心にユーザーを獲得し、ユーザーは実名を登録することで知られるFacebookとの比較について、大蘿氏は、音楽についての話題を楽しむのに、実名や職業などの個人情報はそれほど重要ではないとして、両者の楽しみ方の違いを強調した。
Facebookとマイスペースは、SNSで利用できるアプリケーションの技術基盤をオープンにすることによって開発者を巻き込み、アプリ開発を促進する手法において共通している。マイスペースは2月に米国と英国で、3月に日本で開発者向けのイベントを行っているが、日本でのアプリ開発が活発化するのはもう少し時間がかかりそうだ。
マイスペースは今年の11月で日本市場進出2周年を迎える。すでにmixi、モバゲータウンなど、特徴のあるSNSがシェアを押さえている中、マイスペースとFacebookが今後どのようにユーザーを獲得していくのか注目される。
【関連リンク】
・「mixiとの違いは実名でのつながり」─Facebook日本語版がスタート
・Facebook、アクティブユーザーが7,000万人を突破 MySpaceを猛追
・MySpace、ユーザーのプロフィールをYahoo!、Twitterらと共有へ
・iTunes Storeの1人勝ちにMySpaceが「待った!」、レコード3社と音楽販売ビジネス参入