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湯川鶴章の先端ネットマーケティング通信

「コミュニティがメディア消費の形を激変させる」-米crunchyrollに見るビデオ視聴の未来


マスメディアにおいても、ネットメディアにおいても、「アニメ」は強力なコンテンツのひとつだ。アニメ+コミュニティという澱略で、急成長しているサイトがある。その急成長の要因と、これからのメディアの方向性を探る。【バックナンバーはこちらから! 】

放送と通信は融合せず共存する

 「ネットは新聞を殺すのか」というタイトルの本を書いたものだから、テレビや新聞などの従来型メディアがなくなると主張してきたかのように思われがちなのだが、本を読んでいただければ分かる通り「テレビや新聞がなくなる」とは主張していない。なくなりはしないが、利用者が減少し影響力は低下するというのが、わたしの一貫した考えである。

 ただ本の出版以降は、予想可能な近未来において放送と通信は融合するのではなく共存すると考えるようになってきた。つまり放送を通じた現在のテレビ視聴の形はほとんど変わらないものの利用者が減少し、一方でネット上の新しい動画視聴の形は今後も技術革新を続け利用者も増え続けると考えている。さらに最近ではその新しい動画視聴の形の原型となるのはYouTubeやニコニコ動画ではなく、米国のcrunchyrollのようなコミュニティをベースにしたメディアではないか、と考えるようになってきている。


コミュニティ運営に金銭的報酬が必要とは限らない

 その、cruncyrollの創業者が来日し、Infinity Ventures Summit(IVS)で講演した。米国の報道を見る限りcruncyrollの創業者グループは匿名を維持することが多いようで、公の場で意見を聞ける貴重な機会となった。

 cruncyrollは日本のアニメを中心とする動画配信サイト。YouTubeがマスを対象としたメディアであるとすれば、crunchyrollは世界中のアニメファンをターゲットにしたニッチメディアということになるだろうか。またYouTubeに比べて、コミュニティをより重視したつくりになっていることが大きな特徴だ。YouTubeではただビデオを見るだけのユーザーが多いが、crunchyrollでは同じ趣味を持つユーザー同士が感想を述べ合ったり、情報を交換したり、写真を投稿したりなど、コンテンツを核にしたアクティビティがサイトの中心となっている。こうした活動のおかげで、1つのコンテンツが生み出すページビューが比較的多くなり、広告収入の増加につながっているという。

 2007年ごろから個人的な趣味の範囲で始まったサイトだが、広告を打つこともなく450万人のユニークユーザーを抱えるまでに成長。07年末には、創業者4人が仕事をやめてこのサイトの運営に専念するようになったという。

 講演したCEOのKun Gao氏によると、優れたコミュニティ構築に必要な要素は4つあるようだ。

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この記事の著者

湯川 鶴章(ユカワ ツルアキ)

米国放浪中に新聞少年のような仕事につき、気がつけば報道の世界に入っていた変り種。シリコンバレーの黎明期からIT産業を中心に取材をし、2000年5月に帰国。現在、時事通信社編集委員。それでもってブロガーであり、ポッドキャスター。性格は極めて優柔不断だが、結構まじめ。謙虚だが思い上がるところもある。主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/06/12 12:05 https://markezine.jp/article/detail/4035

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