SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

河野武のセカンドオピニオン

総務省が発表した数字は本当に正しいのか?
国内ブログ数のひとり歩きにブレーキを


 今回取り上げる記事は『アクティブなブログの12%が「スパム」【総務省調査】』です。国内のブログ数はここ数年、2006年発表の860万ブログという数字がひとり歩きしていましたが、これからはまたこの数字だけが語られるんでしょうか。ちょっとマズいかもしれませんね。【連載バックナンバー】

総務省調査と個人調査はどちらが正しいのか?

 今回はこの記事に突っ込みをいれてみます。

 個人的には2006年4月に同じ総務省が発表した、国内のブログ数が860万というのが信用できなくて、今年の初めに独自の調査をしてました。

 もちろん上記の数字を発表した時にはいろいろと批判をいただいたのですが、大事なことは数字の意味とかその前提をちゃんと考えよう、ということです。総務省が発表したから信用できる(個人の河野が発表したから信用できない)ということではなく、自分で考えるきっかけになればいいなと思っていました。

 ここでちょっと余談。こういうリサーチリテラシーを高めるには『社会調査』のウソって本がオススメです。

 さて、総務省の発表数字に戻りましょう。

 総務省情報通信政策研究所(IICP)の調査研究部は、15歳以上のブログ開設経験者を対象に調査を行い、2351件の回答を「ブログの実態に関する調査研究の結果」として公開した。

 2008年1月時点で公開されている国内のブログの総数は約1,690万、記事総数は約13億5,000万件。このうち、1か月に1回以上記事が更新されているアクティブなブログの数は約300万で、ブログ総数の2割弱に相当する。

 「公開されてる」の定義は削除されたブログを除いたのぞいた数字ということなので、現時点で検索エンジンの対象になってるブログ、という理解でいいのだと思います。Voxのようなアクセス制限があるブログや、Twitterなどのミニブログは対象に入っていないでしょう(入ってないっぽいですね)。

 また、アクティブなブログの定義が記事更新の頻度(1か月に1回以上)だけで、内容についてどこまで精査されてるかはわからないのですが、まあ860万(2006年3月末)を下回った数字は出せないでしょうし、グラフの伸び的にも数字ありきな感じもします。

「国内ブログ総数1,690万」の行く末

 なお、このアクティブなブログは横ばいだそうですが、これもSPAM判定の精度次第では、まともなブログ(非SPAMブログ)は減少しているってことにもなりかねません。実際、ニフティはブログの40%がSPAMと発表してますし、このSPAMの定義というのはかなり数字を左右しますね。

 今回の調査では、2008年1月時点のアクティブブログのうち、12%がスパムブログに該当すると分析。スパムブログの出現率については、ブログサイト間で大きな差がみられるという。また、スパムブログの内容は、「販売誘導」が38.3%、「アフィリエイト収入」が17.1%、「アダルト・出会い系サイトへの誘導」が7.0%となっている

 ここで言う、SPAMの問題では、その比率が日ごとに高まっていることにも注意する必要があります。普通の人が1日に1回、この発表では月に1回程度の更新に対し、SPAMの場合はツールを使えば1日100回とか更新できますから、100倍以上のスピードでSPAMエントリーが増えているということです。今が40%でも、すぐに50%や60%になっていくのです。

 個人的にはネットへの参加率が高まっていくことは喜ばしいのですが、この数字を使ってまたネットクチコミがすごいとか言う人が出てこないか不安です。

 今後、この「1,690万」がどう使われていくのか、注目したいですね。

 p.s. 今回、MarkeZineのタイトルは1,690万じゃなく、SPAM率のほうを取り上げてましたね。前回の記事が効いたのかわからないですけど、やたら煽るタイトルよりはいいですね。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
河野武のセカンドオピニオン連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

河野 武(コウノ タケシ)

1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。マーケター。企画屋。 1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2008/07/23 11:30 https://markezine.jp/article/detail/4563

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング