1,400万人超の会員と遅延なき1to1コミュニケーション
──今うかがった施策を実行するにあたり、数あるCRMプラットフォームの中でBrazeを選定された理由をお聞かせください。
田中:顧客ロイヤルティの向上を目指すにあたり、1to1コミュニケーションの高度化は避けて通れません。人の行動や生活スタイルは多様化が進んでいますから、カスタマージャーニーは人の数だけあると言えます。1,400万超という数の会員様に向けて、遅延することなく1to1コミュニケーションを行うためにはBrazeが最適です。BigQueryとの連携しやすさも魅力でした。
紺野:最近はBigQueryとの連携用にコネクタを提供する企業も増えていますが、その多くはデータを同期する頻度が一日1回であるのに対し、Brazeの場合は最短で15分おきにデータを同期することが可能です。その実行可能性の高さは強みだと思います。
また、Brazeではリアルタイム性を重要視しています。たとえば「ユーザーがアプリを立ち上げたタイミングでこのレコメンドを差し込みたい」と思っても、ユーザーによってアプリ立ち上げのタイミングは異なりますよね。Brazeの場合、各ユーザーがアプリを立ち上げたタイミングでイオンリテール様のAIエンジンからコンテンツをリアルタイムに引っ張ってきて、差し込むことが可能です。
──消費サイクルリマインドにおいて、Brazeが果たしている役割を教えてください。
紺野:Brazeの「キャンバス」という仕組みを活用いただいています。キャンバスとは、ユーザーの行動や属性に合わせた様々なパターンのメッセージを、フロー形式で作成するための仕組みです。イオンリテール様が蓄積している過去の購入履歴から各ユーザーの購入サイクルを算出し、各人にとってベストなタイミングを定めて通知を行っています。
田中:キャンバスは画期的な機能だと感じます。お客様一人ひとりの購入サイクルを算出したり、分岐の設定を手作業で行ったりすることは、ほぼ不可能ですから。キャンバスを使えば、私たちが最初に設定した条件をセットするだけで済みます。
自然言語で通知内容のチューニングが可能に
紺野:まだ正式リリース前の機能ですが、キャンバスの中に「コンテキストステップ」という新しい機能が実装されました。ユーザーごとのデータを基に、フローの途中でデータ加工や計算処理を行うことができる機能です。
コンテキストステップは「Liquid」というコードを書く必要があります。しかし、先日当社が発表したAIエージェントを組み込む機能を使うと、自然言語で処理を走らせることができるようになります。つまり今後は、さらに簡単に1to1コミュニケーションを実現することができます。
田中:保有データが膨大な当社にとって、PoCを実施する際に自然言語で気軽に指示できる点は魅力的ですね。
──AI活用パーソナライズにおけるBrazeの役割はいかがでしょうか?
紺野:AI活用パーソナライズでは「コンテンツカード」という機能を活用いただいています。この機能を使うと、表示するバナーをユーザーごとにパーソナライズすることができます。その際、出し分けの条件をBrazeに全てインプットしておく必要はありません。イオンリテール様がお持ちのAIエンジンに格納されたデータを、必要なタイミングでBrazeがリアルタイムに取得しに行けるようになっています。

