変化1:検索体験は「探す」から「答えを得る」に変化
1つ目の変化は、ユーザーの検索体験そのものの変化です。従来の検索行動は、キーワードで検索して、検索結果からサイトを選び、サイト内で情報を収集するという流れでした。ユーザーは能動的に複数の情報源を探し、自分で情報を取捨選択していたわけです。
しかし、生成AIや「AIによる概要(AI Overviews)」の普及により、この流れは大きく変わりました。現在の検索行動は、AIに質問してAIから答えを得るというシンプルな形に変化しています。

筆者は、2025年前半の段階では「検索行動は変わりつつある」と述べましたが、現状では「変化した」と言ってよい段階にきていると感じています。
ナイルが2025年12月に実施した「AIによる概要(AI Overviews)利用実態調査」では、「AIによる概要」の回答だけで検索時の疑問や悩みが解決したと感じることは「よくある」と「ときどきある」を合わせて69.1%という結果でした。

実際、「〇〇とは」などの用語を解説するコンテンツは、AIの回答で完結することも多く、筆者の担当する複数のサイトでもアクセスの減少が見られました。
一方、すべてのコンテンツがAIに代替されているわけではありません。先の調査でも、約7割のユーザーが「AIによる概要」を読んだ後に検索結果のリンクを「ほぼ必ずクリックする」「状況によってクリックする」と回答しています。

これを見ても、現状はAIの回答だけで完結せず、追加の情報を求めてWebサイトを訪問するケースが多いことがわかります。
しかし、2026年以降はAIに対する信頼が徐々に高まっていき、AIの回答を見てからWebサイトを訪問する現状から、AIと対話を重ねて検索行動を終えるケースが増えていくだろうと、筆者は予想しています。
その状況においては、まずは自社のサービスや製品の情報を正しくAIに伝えることが重要です。製品スペックや特長、料金表などを正確に記載するだけでなく、Q&Aや活用事例を掲載するなど、AIが学習できるように公式情報を充実させましょう。構造化データなども活用して、検索エンジンやAIが理解しやすいコンテンツを意識することも有効です。
変化2:体験と信頼のプレミアム化
2つ目の変化は、「体験」と「信頼」の価値が相対的に高まるということです。生成AIは大量の情報を瞬時に整理し、一般的な回答を提示することに長けています。一方、実際に体験した人にしか語れないリアルな感想や、専門家としての独自の見解を示すことはできません。
たとえば、製品レビューで考えてみましょう。製品のスペック、特長などの情報はAIで瞬時に調べることができます。
一方、「1年使ってみた所感」「買い替えた理由」「買ってから後悔したこと」などの情報は、実際に製品を使った経験がないと書けない情報です。そして、購入検討しているユーザーが本当に知りたい情報は、このような生の体験談なのです。
ここで重要なのは、信頼できる人間の体験談や見解に価値が集中するということです。
生成AIの登場によって、安価で簡単にコンテンツを作ることができるため、コンテンツの量は爆発的に増えています。読み手のユーザーは限られた時間の中で、膨大なコンテンツから有用な情報を探し当てる必要があるので、必然的に信頼できる人間の情報にアクセスが集中するでしょう。
これからのコンテンツマーケティングにおいては、「何を書くか」以上に、「誰が書くか」「どのようなストーリーがあるか」がAIと差別化できる要素になります。
具体的には、自社のサービスを活用した等身大の事例コンテンツや、専門家として「私たちはこう考える」という独自の見解を継続的に発信し、AIには模倣できない「一次情報」や「人物像」を押し出すことが、これまで以上に重要となるでしょう。
