AIの進化による、検索行動の変化
従来の検索行動では、ユーザーが特定のキーワードで検索し、検索結果から適切なページを選んで情報を収集していました。この流れにおいては、自社のコンテンツが検索結果の何位に掲載されるかで集客に大きく影響するため、SEO(検索エンジン最適化)は重要な取り組みでした。

しかし、ChatGPT、Gemini、Perplexityなどの生成AIの登場により、この行動パターンは根本的に変わりつつあります。
生成AIは、入力されたプロンプトから複数の情報源を参照し、ユーザーの質問に対して適切な回答を瞬時に提供します。言い換えると、検索からサイト内の情報収集・分析するまでの一連の流れを、AIが代行しているとも言えます。

特に注目すべきは、Google検索に表示される「AI Overviews」という機能(連載の第3回で解説)。入力されたキーワードにあわせて、「AIによる概要」が検索結果の上部に表示されるようになりました。この結果、ユーザーはWebサイトに訪問せずに疑問を解決できるケースが増えているのです。

さらにGoogleは、「AI Mode」という新機能(連載の第4回で解説)を海外で展開しており、この機能では会話形式でより深い情報を得ることができます。AI Modeはまだ日本では使用できないものの、実装されればユーザーの検索行動はさらに大きく変わることが予想されます。
こうした変化により、検索結果での上位表示を目指すだけでなく、AIに紹介・引用されるサイトになることが重要になっています。
新たに登場した「LLMO」とは?
「LLMO(Large Language Model Optimization)」とは、ChatGPTやGeminiなどの大規模言語モデル(LLM)に対する最適化を指す新しい概念です。従来のSEOがGoogleなどの検索エンジンでの上位表示を目的としていたのに対し、LLMOはAIによる回答において、自社の情報が適切に引用・参照されることを目指します。
LLMOとSEOの最も大きな違いは、その目的にあります。SEOは検索エンジンからのサイト集客を目的とする一方、LLMOはAIの回答内で適切に言及されることによるブランド認知、信頼性の向上を目指すものとなります。
ユーザーがAIとの対話を通じてサービスを選定する機会が増えるにつれ、AIに選ばれないブランドは顧客との重要な接点を失う可能性が高まります。LLMOでは、AIに選ばれるブランドになることで、最終的にユーザーにも選ばれるブランドを目指していくわけです。