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AI時代のBtoBマーケは「意思」が左右する。独立した富家氏が説く、インハウスケイパビリティの重要性

 コニカミノルタジャパンで31歳という若さで部長に昇進し、その後EVeMへ転職。BtoBマーケティングの最前線を走ってきた富家翔平氏が2025年10月、独立し「AiKAGI(アイカギ)」を創業した。新会社では企業のインハウスケイパビリティ(組織内部の実行能力)を高める支援を提供していくという。AIの活用が当たり前になる中、富家氏はなぜ今、「組織内部の実行能力」を高める支援が必要だと考えたのか。そして、これからのBtoBマーケターには、どのようなスキルや視点が求められるのか。富家氏のこれまでのキャリアを振り返りながら、新事業に込めた思いと、With AI時代におけるBtoBマーケターの役割について話を聞いた。

挫折、武者修行、そしてBtoBマーケティングとの出会い

――まずは改めて、富家さんのこれまでのキャリアを教えてください。マーケティングに出会ったのはいつでしたか。

富家:新卒で入社した通販会社で、マーケティング部門に配属されたのがはじまりです。その会社には元々、テレビショッピングのMCをやりたくて入社しましたが、こてこての関西弁が災いしたのか(笑)、その機会には恵まれませんでした。

 入社して早々に挫折したわけですが、マーケティング部門ではECにおける社内のインハウスWebマーケティングを担当することになりました。当時は自動最適化の技術もそれほど進んでいなかったので、自分の手で入札単価を変えると、CPCやCPA、ROASといった色々な数字が動くんですよね。とてもおもしろいと思いました。

株式会社AiKAGI 代表取締役 CEO 富家 翔平氏
株式会社AiKAGI 代表取締役 CEO 富家 翔平氏

富家:その後、小さな広告代理店に転職するのですが、それは募集要項に「大手総合代理店に常駐する案件がある」と書いていたからです。マーケティングの武者修行のつもりで挑戦しましたが、仕事はかなりハードで、「大変なところに来てしまった」と思いました。当時、一人目の子どもが生まれたばかりだったのですが、子どもが寝ている間に帰ってきて、寝ている間に家を出るという生活を1年半ぐらい続けていました。そこで、クライアントワークとは何か、プロフェッショナルとは何か、そしてお金をいただくとはどういうことかを叩き込んでもらいました。

――その後、コニカミノルタジャパンに移られるのですね。

富家:はい。実はコニカミノルタジャパンには、プリセールス担当の営業職として入社しています。営業をしながら、自社のマーケティング基盤の整備や、BtoBのマーケティング支援事業の立ち上げを行いました。BtoBマーケティングは初めてでしたが、コンバージョン数を仮定して逆算していくやり方は身についていたので、それをBtoBマーケティングの世界に応用できました。

 営業とマーケティングコンサルタント、社内のBtoBマーケターを兼任するような形で3年ほど働き、マーケティング部門の部長に就任するタイミングで、セールスを離れました。マネジメントでは多くの失敗も経験し、人を動かすことの難しさと向き合いながら、次第に「組織全体をどう動かすか」というテーマに関心が移っていき、マネジメント能力向上を支援するトレーニングプログラムを提供するEVeMに転職しました。

「起業するなら今」と背中を押したもの

――そうしたキャリアを経て、今回、独立を選ばれました。起業の背中を押したものはなんだったのでしょうか?

富家:起業はいつか挑戦したいことのひとつでした。ですが、自分なんかが今やって良いものなのか……とタイミングや事業内容に悩んでいたのです。EVeMはスタートアップでしたので、多くの起業家と出会いました。尊敬すると同時に「彼らも同じ人間なんだ」と身近に感じられたこと、ビジネスパーソンとして優れているから起業したのではなく「やる」と決めて行動した人が起業家になるんだと、理屈ではなく感覚で理解できたことで、「自分もチャレンジしたい」という気持ちがどんどん強くなりました。

 そうした心理的な変化に加え、AIの進化が想像を超えるスピードで進んでいることも、「今しかない」というタイミングの面で後押しになりました。BtoBマーケティングの領域で何か大きな技術革新があり、「もうこの領域は無理だ」と思ってしまったら、起業するという選択肢はなくなり、目標だけでなく目的すら見失ってしまうような気がしたんです。AIの進化が読めないからこそ「今チャレンジしないと」と思いました。

――そうして創業されたのがAiKAGI(アイカギ)なのですね。新会社では、何を行っていくのでしょうか?

富家:BtoBマーケティングに特化した「インハウスケイパビリティ」、つまり組織内部の実行能力を向上する事業に挑戦したいと思っています。

 「インサイドセールス機能を強化しよう」「ホワイトペーパーを作ろう」「イベントをやろう」など、やることが決まったらそれを支援してくれる会社は既にありますが、「何をやるかを考える」ことをメインに手伝ってくれる会社はほとんどありません。また、「こうしたほうがいいですよ」と戦略や方針、アクションを提示するコンサルティングも、自分のやりたいこととは違うように思いました。組織の中の人が自ら考えられるよう、組織力を上げていくお手伝いをするため、事業を立ち上げました。

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AI時代にこそ高まる「インハウスケイパビリティ」の重要性

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/01 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50092

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