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LINEヤフー、AIエージェント実装の「Connect One構想」と新機能群を発表

 LINEヤフーが、2025年11月17日(月)に開催したビジネスイベント「LINEヤフー BIZ Conference 2025」において、同社マーケティングソリューションカンパニーでカンパニーCEOを務める池端由基氏、カンパニーCPOを務める二木祥平氏がキーノートに登壇。

 2023年10月から掲げる「Connect One構想」の進化版として、AIエージェントを組み込んだ次世代プラットフォームの構想と、この1年間のプロダクトアップデートを発表した。

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(写真左)LINEヤフー株式会社 上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCEO 池端由基氏
(写真右)LINEヤフー株式会社 上級執行役員 マーケティングソリューションカンパニー カンパニーCPO 二木祥平氏

 LINEヤフーが掲げる「Connect One構想」は、LINE公式アカウントを中心にユーザー基盤・顧客管理基盤を整え、広告にとどまらず販促・CRM・EC・予約といったあらゆるビジネスソリューションを1つのプラットフォーム上で提供していく構想だ。

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ビジネスIDの統合完了

 プロダクト開発を統括する二木氏は、Connect One構想に基づく最新アップデートとして、2025年6月にLINEとYahoo!のビジネスIDが統合されたことを報告。LINE公式アカウントやYahoo!広告といった各サービスを1つのログインIDで利用できるようになり、横断した機能を使える基盤が整った。

LINE広告とYahoo!広告の統合

 さらに2026年春には、LINE広告とYahoo!広告が「LINEヤフー広告」として1つのプラットフォームにリニューアルされる。単なる一本化ではなく、Yahoo!面やLINE面への配信が効率化され、すべてのLINEアプリ・Yahoo!アプリユーザーへのリーチが可能になる。Yahoo!の検索データとLINEのユーザーデータが横断的に活用でき、アルゴリズムも一本化される。

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LINEヤフー広告のイメージ

 二木氏は「ユーザーが商品やサービスに関心を持ったその瞬間を、よりリアルタイムに精緻に捉えることが可能になった」と説明。Yahoo!検索直後にリアルタイムで最適な広告をLINEアプリ内で配信するなど、オーガニックの接点と広告の接点、LINEアプリとYahoo!アプリの境界線がなくなることを強調した。

データ活用を加速する新機能

Business Manager Insights

 2025年10月から先行リリースを開始した「Business Manager Insights」は、LINEヤフーのサービス・アカウントを横断した統合分析が可能になる新機能だ。現在はLINE公式アカウントとYahoo!広告を対象にレポート機能を提供しており、LINE広告とYahoo!広告のプラットフォーム統合後は、すべての広告データも含めて横断的に分析できるようになる。

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 広告やメッセージを横断した統合的なリーチのレポートに加え、配信結果やLINEヤフーが持つ膨大なデータをもとに、LINE公式アカウントの友だちがどんなユーザーなのか、さらに友だちを増やすにはどのセグメントに配信すればいいのかなど、施策の解像度と精度を飛躍的に高められる。2026年3月頃からLINE公式アカウントと広告を利用中の企業向けに一般提供を開始する予定だ。

LINE公式アカウントの進化

Business Profileの刷新

 LINE公式アカウントの中心に据えられているのが、2025年10月に誕生した「Business Profile」だ。フィード投稿、クーポンの利用、予約、購買など、様々なアクション情報をプロフィール1つにまとめて表示できる。ブランドやサービスの魅力を伝えるだけでなく、友だち追加やミニアプリへの誘導、コンバージョン創出といったあらゆるビジネス活動の中心となるポータルとして機能する。

 情報を充実させるほど、LINEアプリだけでなくYahoo!アプリや検索結果、マップ、一般のWeb検索も含めた様々なサービスに情報が掲載される仕組みだ。

ホームタブの刷新

 2025年12月には、LINEアプリのホームタブも大幅にリニューアルされる。上部の「アクティビティエリア」には、LINE友だちのステータスや天気、関連サービスの情報など、ユーザー一人ひとりに最適化された情報が集約される。下部の「コンテンツフィードエリア」では、AIが今知りたい話題をまとめて提示し、LINEニュースや公式アカウントの投稿、動画などがリアルタイムに表示される。

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 12月からホームタブに連動する広告メニューも一部ユーザー向けに先行リリースされる予定だ。

オフライン接点を強化する新機能

LINE Touch

 2025年11月17日から提供を開始した「LINE Touch」は、交通系ICカードと同じ要領で、スマートフォンをかざすだけで瞬時にLINE公式アカウントやLINEミニアプリにアクセスできる機能だ。これまでQRコードの読み取りで行われていた友だち追加やミニアプリ起動、会員証提示といったオフライン接点での利便性向上が期待できる。

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 飛び先のURLを動的に変更できるアプリケーションも用意されているため、印刷物の差し替えや再設置の手間がない。セキュリティにもこだわり、不正利用防止対策も施されている。レジでの会員証表示、飲食店のモバイルオーダー、スタッフとの友だち追加案内など、幅広い活用が想定される。

コミュニケーション機能の拡充

LINEプロモーション絵文字

 2025年度に導入を開始したLINEプロモーション絵文字は、企業がオリジナルのLINE絵文字をユーザーに提供できる機能だ。LINEでは1日に8,200万回以上の絵文字が送信されており、日常的に多くのユーザーが利用している。2025年5月からは、トークでの送信だけでなく、ユーザーのメッセージにリアクションする形でも利用可能になった。

LINE通知メッセージのリニューアル

 LINE公式アカウントで配達や決済、予約のリマインドなど、ユーザーに届けなければならない重要性や必要性の高いメッセージを送れる「LINE通知メッセージ」もリニューアルした。企業が保有する電話番号とLINEに登録されている電話番号をマッチングすることで、友だちではないユーザーにも届けられる。テンプレート数を90種類追加し、利用用途の幅を大幅に拡大している。

LINEミニアプリタブの登場(初発表)

 LINEアプリ上で開くアプリケーション「LINEミニアプリ」は、インストールも会員登録も不要で、ユーザーがサクッと利用を開始でき、その後のCRMにもつなげられるプロダクトだ。利用MAUは飛躍的に伸びており、昨年の1,000万人から1,680万人を超え、サービス数も2万5,000アプリを超えた。

 本イベントで初めて発表されたのが「LINEミニアプリタブ」だ。現在LINEアプリの右端下部にあり、「ウォレットタブ」が、2026年2月から「LINEミニアプリタブ」としてリニューアルされる。

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 アプリストアのように人気アプリの検索やランキングの閲覧が可能になり、一度使ったミニアプリにもサクッと再アクセスできるようになる。

AIエージェント実装の2つの方向性

 池端氏が示した新構想では、AIエージェントをプラットフォームの中核に据え、2つの方向性で展開する。1つ目は、AIエージェントがユーザーに接客し、購入や予約といったコンバージョンまでの誘導を自律的に行う仕組み。カスタマーサポートも自動化し、真の意味でのCX(顧客体験)向上を実現する。

 2つ目は、マーケティングエージェントとして企業側の業務を支援。マーケティングの目的や予算設定、広告クリエイティブの制作などを自動化していく。

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 既にYahoo!アプリでは、検索からAIが活用でき、様々な検索結果から回答を要約できるAIアシスタントを提供。LINEではトークをAIによってサジェストする「トークサジェスト」機能を展開している。現在、LINEおよびYahoo! JAPANでのAI活用DAUは860万を超えるという。

 ビジネス向けでは、検索広告のタイトルやディスクリプションのAI生成、LPのURLを入力するだけでクリエイティブを作成する機能などが既に利用可能だ。さらに2025年11月12日には、AIが問い合わせ内容を判別して自動応答する「AIチャットボットビルダー機能(β)」がリリースされた。

 FAQの生成からAIがアシストし、ユーザーからの質問を自然言語で解釈して最適な回答を返す機能で、回答精度にもこだわっているという。チャットProプラン利用企業はすぐに利用可能だ。

 二木氏は、今後一層AIがLINEヤフーのプロダクトに組み込まれていくとし、ビジネス方面での方向性を2つ示した。

1. CX(顧客体験)の高度化

 ユーザーが商品やサービスに出会って、検討して、購入、問い合わせといった様々な接点で、ブランドやサービスと関わる。これまでWebサイトでの情報収集、店舗での決済、電話でのカスタマーサポートなど、チャネルごとに分断されていたコミュニケーションを、今後はLINE公式アカウントのAIエージェントがすべて1つに統合する。

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 「ユーザーにとって、ブランドやサービスに問い合わせるとき、まずはLINEでエージェントを探して相談すればいいという次世代のブランドエージェント体験を実現したい」と二木氏は説明した。

 具体的には、エージェントモード搭載の公式アカウントを開くと、エージェント側から接客体験・発話が始まり、リアルタイム性のあるやり取りが開始される。音声入力や動画入力といったマルチモーダルなコミュニケーション機能もサポートし、既存のチャット機能との連携、必要に応じてLINEミニアプリや電話、外部Webサイトへの誘導といったアシストも提供する。「リアルな接客体験を実現し、人の代わりにユーザーを最適なアクションへと導く」と二木氏は語る。

マーケティング業務の効率化

 もう1つの方向性が「マーケティングエージェント」だ。LINEヤフーのあらゆるプロダクトに実装され、企画から実行までマーケティングを一気通貫で支えていく。

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 まずインサイトの発掘から始まり、検索データ、配信結果、企業が持つ1st Partyデータを掛け合わせることで、ユーザーのインサイト理解を深め、次の施策まで提案する。そこからキャンペーン設計自体も自動化し、予算・目的から最適な配信プランを設計して配信まで完了する。

 セッションの最後に二木氏は、「AIと非常に相性の良いメッセージングというインターフェース、そして多種多様なビジネスプロダクト群という2つの資産とAIを組み合わせることで、広告、CRM、コミュニケーションの体験全体がよりパワーアップする」と語った。

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2025/11/25 07:15 https://markezine.jp/article/detail/50189

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