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COLUMN

Z世代とY世代、時代の変化を比較 「合理的すぎる若者像」と体験・効率・安心重視の消費行動を紐解く

 Z世代とY世代。世代論はマーケティング戦略に欠かせない視点ですが、学生や若年層を対象とした議論に偏りがちです。本稿では、購買力を持つ「若年層の社会人」に焦点を当てます。Z世代の行動特性は本当に世代特有なのか、それとも若年層共通の傾向なのか、2024年のZ世代社会人と2009年のY世代社会人を比較し、それぞれが若者として社会に出た時期の価値観やライフスタイルを検証します。行動データから、彼らの消費行動にまつわる仮説を読み解いていきましょう。

若年層の特徴を「時代要因」か「世代要因」か検証

 本稿では、TBS生活DATAライブラリが保有する生活者データの2009年調査と2024年調査を用いて、Y世代・Z世代両世代が「社会人になりたての若者」だった時期を比較します。これにより、その特徴が「若者に共通する傾向」なのか「Z世代特有の価値観」なのかを区別していきます。

 同一設問で2024年の全体スコアとZ世代スコアがともに±5ポイント以上変化している場合を「時代全体の変化(時代要因)」、全体スコアは±5ポイント未満だがY世代とZ世代の間に±5ポイント以上の差がある場合を「世代による違い(世代要因)」と定義しています。

【使用データ】
データベース:TBS生活DATAライブラリ
調査手法:訪問留置回収法
調査対象者:約7,400(全国 13歳~69歳 一般男女)※2009年と2024年の20代社会人データ(Y世代・Z世代)を比較
調査時期:毎年11月実施
※同調査はTBSテレビをキー局とする全国28社のテレビ局(JNN系列)が1971年から毎年共同で行っているライフスタイル調査です

1.Z世代は「合理性・効率性」を重視している?

検証する仮説:Z世代は、所有や手間よりもコスパ・タイパを優先する

 Z世代といえば、「車や家を持つ必要はない」「コスパの悪いものにはお金を払わない」「タイパを重視する」といった効率重視の価値観を持つ世代であると語られることが多いでしょう。ここでは、時間感覚やコスパ意識に関するデータを検証していきます。

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冷凍素材食品の利用意向は全体的に大きく上昇しており、Y世代、Z世代ともにそれぞれの全体平均よりやや高い水準で利用しています。
レトルト食品の利用意向も全体的に大きく上昇。Y世代、Z世代ともに全体平均より高い利用率を示しています。
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市販の調理済みそう菜の利用意向は全体的に大きく上昇。
面倒でも手作りする割合は全体的に減少傾向にあり、Y世代、Z世代ともに全体平均を下回る結果となっています。

 データからもわかるように、手料理に時間をかける人は全体的に減少しています。Z世代に限らず、幅広い世代が利便性を重視し、便利なサービスや即時性の高い選択肢を活用していることがうかがえます。

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賃貸志向は全体的に増加傾向にあり、Y世代は全体平均と同程度でしたが、Z世代は全体平均を上回り賃貸志向がやや強まっています。老後はマンションに住みたいと考える割合も全体的に増加していますが、特にZ世代はY世代と比較して5.1ポイント増加しています。

 Z世代は賃貸での暮らしにメリットを感じ、老後は一戸建てよりもマンションでの生活を希望する傾向が見られています。

 この背景には、所有よりもコスト効率や利便性を重視するライフスタイル志向が影響していると考えられます。

検証結果:Z世代は「合理性・効率性」を重視しているといえる

 時代全体として効率性を重視する志向が進んでいる中、特にZ世代は合理性に基づいて生活や将来設計を考える姿勢が際立っています。

 食生活では「手間をかけない調理」が支持され、住まいも「所有」より「賃貸」、老後でも「一戸建て」より「マンション」が好まれる傾向があります。憧れよりも得であるかを重視する、合理的で損得を基準に判断する価値観がうかがえます。

次のページ
2.Z世代は「体験・消費」に積極的?

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この記事の著者

野口 宗矩(ノグチ ムネノリ)

株式会社Skyfall リサーチ事業部 リサーチ本部 本部長 執行役員待遇
他業界を経て2015年から総合調査会社にてリサーチャーとしてマーケティングリサーチ業に従事。マーケティング支援会社で更に経験を積み、2022年DataLab株式会社を起業。代表の一人。リサーチャー組織を構築し、多くの企業の課題解決・戦略決定を支援...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/10 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50170

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