有園 雄一さん:『オペレーションの思想 戦後日本美術史における見えない手』

推薦文
オペレーションをAIに置き換える動きが加速している。だが、どこからどこまでをAIに任せて、どの部分を人間が処理するのか。社内にある既存のオペレーションフロー図などは概要設計しか記載されていない。そのため、オペレーション実態の「見える化」が全世界で課題となっている。
本書は米国エンジニアの間でいま、密かに注目されている富井玲子氏の書。1988年からニューヨーク在住の美術史家で、「Radicalism in the Wilderness: International Contemporaneity and 1960s Art in Japan」(未邦訳)の続編だ。「戦後日本美術史における見えない手 」と副題にある通り、「見えない」オペレーションを見える化する。「見える化」無くしてAI化できない。
「端的に言えば、オペレーションとは表現を社会化( socialization)する個々の営為や回路であり、そうした社会化の総体である」<同書より引用>
この発想は、美術業界に留まらない。すべての表現、広告・マーケティングに必須なものになる。
有園 雄一さん
日本マイクロソフト株式会社
Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan
早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会社(現ヤフー株式会社)、グーグル株式会社(SalesStrategy and Planning/戦略企画担当)、アタラ合同会社COOなどを経て現職。2004年、検索キーワード入りテレビCMを考案、日本で最初にトヨタ自動車「イスト」CMが採用。2014年、Dual AISAS Modelを提唱。株式会社テレビ朝日の番組「#モデる 」では番組企画を支援し、DualAISAS Modelを利用して、「テレビ番組-テレビCM-SNS-ウェブサイト-EC/店舗」の連携を意図したコミュニケーション設計を行う。2016年~現在、zonari合同会社 代表執行役社長。2016〜19年、株式会社電通デジタル客員エグゼクティブコンサルタント。2018年、アタラ合同会社フェローに就任。2018年度 株式会社電通 電通総研 カウンセル兼フェロー。2020〜2021年、株式会社ビービット マーケティング責任者。2019〜2022年、電通総研パートナー・プロデューサー。2022年8月~、Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan。
古市 優子さん:『WHYから始めよ!インスパイア型リーダーはここが違う』

推薦文
尊敬するアメリカ人のマーケターに教えてもらい手にとった一冊です。 仕事柄たくさんの情報を日々浴びていると、つい「What」に意識が向きがちですが、この本は「Why(なぜやるのか)」という視点を取り戻させてくれます。マーケティングへの活用はもちろんのこと、ビジネスリーダーとして人にどう寄り添うかについても多く言及されています。
“People don’t buy what you do, they buy why you do it.”
英語も平易で読みやすく、英語学習を兼ねた読書としてもおすすめです。
※原書のStart with Why: How Great Leaders Inspire Everyone to Take Actionでは英文
古市 優子さん
Comexposium Japan株式会社
代表取締役社長
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、サイバーエージェントを経て2013年よりdmg::events(現Comexposium)に入社、2019年に同社代表取締役社長に就任。欧州大手イベントオーガナイザーComexposium Groupにおける最年少Managing Directorとなる。日本国内では主に ad:tech tokyoをはじめとした、マーケティング・広告・コマース・デジタル領域のカンファレンスの企画運営を総指揮。2022年以降はビジネスイベントのプロフェッショナルとして従事する傍ら、企業の社外取締役や、全米広告主協会が取り組む「SEEHER」推進役も兼務。日本の組織や社会におけるDE&Iの推進に向けて、各種講演やアドバイザー業務など、精力的に活動中。趣味は旅行とワイン。
松本 健太郎さん:『新聞記者がネット記事をバズらせるために考えたこと』

推薦文
本書は、単なる「バズの生み方」を解説した本では無い。苦境に喘ぐ業界のDX解説でもあるし、異なるプラットフォームでのサービス・チューニングの話でもある。何より、コンテンツの作り方を真正面から問うた本だ。オウンドメディアに限った話では無い。特にデジタルに限らず商品・サービスを提供している企業のマーケターには読んで欲しい。
文中で筆者は「新聞はこれまで、読者のことを考えて来たのだろうか」と問う。とても重要な指摘である。様々な制約事項があり、顧客が必ずしも語られていない業界は多い。 その意味で、この書籍は「読者を中心に据えたら、今までのアプローチが通用しなくて大変だった人の試行錯誤体験談」でもある。
松本 健太郎さん
株式会社グロースX
執行役員
龍谷大学法学部卒業後、エンジニア業務に従事。データサイエンスの重要性を痛感し、多摩大学大学院でリスキリング。その後、消費者インサイト等の業務に携わり、2023年1月にグロースXへジョイン。 主な著書に『人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学』(毎日新聞出版)、『なぜ「つい買ってしまう」のか?~「人を動かす隠れた心理」の見つけ方~』(光文社)など。
実務者が選ぶマーケティング本大賞の公式サイトでは、他にも参考となる本を紹介中です。よろしければWeb投票にもご参加ください。
開催概要
- 名称:実務者が選ぶマーケティング本大賞2025
- 投票期間:2025年6月24日(火)~2025年7月24日(木)
-
対象書籍:マーケティング関連のビジネス書全般。出版社や刊行年は問わず、この1年を振り返っておすすめしたい書籍
※開催趣旨上、情報商材などの個人のビジネスでの活用を想定される書籍と判断されるものは、選考から除外 - 選考方法:マーケターの方によるWebでの投票。特に投票の多かった1冊を大賞として発表、またそれに次いで得票が多い数冊を準大賞として発表
- 主催 :株式会社翔泳社
- 特別協力:マーケティング関連のWebメディアおよび業界団体、全国書店、電子書籍ストアなど