AIで「Google検索」はどう変わる?
クラハム氏は、Googleのコマースおよび検索プロダクトのグローバルな商業化と市場開拓戦略を主導する人物である。冒頭、同氏はAIによる業界への影響を受け、「この業界に携わって25年以上になるが、今の変化のスピードは、私がこれまで経験してきたどの時代よりも速い」と語る。一方で、「この転換期には一種の“懐かしさ”も感じている」と述べる。
「かつてデスクトップからモバイルへ、モバイルからアプリへと移行していったように、私たちはこれまでに何度も転換期を迎えてきました。だからこそ、その乗り越え方はわかっています」(クラハム氏)

Googleは現在、AIの導入によって「検索」という体験そのものを大きく進化させようとしている。クラハム氏によれば、Geminiの高度な推論力とGoogle検索がもつ深いウェブ理解力によって、検索はもはや単なる情報収集ではなく、インテリジェンス(知性)を刺激し、拡張する場へと変化しているという。
Z世代が牽引する“検索方法の多様化”
現在、Googleでは年間5兆件以上の検索が行われており、その数は今も増え続けている。中でも18〜24歳のZ世代は主要な検索ユーザー層であり、サインインしているZ世代ユーザーは他の世代と比べて、多くのクエリで検索する傾向にあるという。
また近年、検索方法の多様化が進み、テキストだけでなく、音声・画像・動画を使った検索が広がっている。Googleレンズによるビジュアル検索は月間250億回を超え、そのうち約20%は購入意図を含んでいるという。
たとえば、街で見かけた服を撮影して購入先を調べるような場面では、検索が「欲しい」という気持ちと「購入」という行動を直接結びつける強力な手段となっている。また、画面上を囲むだけで検索ができる「かこって検索(Circle to Search)」も登場し、Z世代の約10%がこの機能を検索の出発点として利用しているという。
そして、過去10年間で最も大きな進化の一つが「AIによる概要(AI Overview)」だ。約1年前に提供が開始されたこの機能は、既に200以上の国と地域で展開され、毎月15億人以上が利用しているという。
「Google検索は静的なリンクの羅列から、より動的でパーソナライズされた体験へと進化しました。ユーザーからの新しいインプットによって、これまでにないアウトプットが生まれているのです」(クラハム氏)