推し活化するeスポーツ、Z世代・女性層が支える熱狂
「この熱狂、すごくないですか?」
そう語るのは、J.フロント リテイリンググループの大丸松坂屋百貨店と、eスポーツチームを運営する「XENOZ(SCARZ)」のマーケティングを兼任する島袋孝一氏だ。大丸・松坂屋やPARCO(パルコ)を擁するJ.フロント リテイリンググループは、2022年にeスポーツチーム「SCARZ」を運営するXENOZを子会社化し、eスポーツ市場に参入している。
島袋氏が投影しているのは、SCARZとそのファンが交流する有料イベントの様子。そこには、SCARZのメンバーと、自分の「推し」を応援しに来た女性たちの姿が映し出されている。客層のほとんどが女性であることから、このイベントには、コスメブランドのPAUL&JOEなどが協賛しているという。
eスポーツとは?ファン数、ビジネスモデルは?
eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ(Electronic Sports)」の略で、コンピューターゲームやビデオゲームを競技としてプレイすることを指す。プロ選手やチームが大会に参加し、賞金や名誉をかけて競い合うのが特徴だ。加えて、「トレーニングが必要」「フィジカルな要素が含まれる」「観戦文化が発展している」といった特徴もある。
eスポーツ市場は、その界隈だけに留まらず世界的な成長を続けている。世界のスポーツ別競技人口を見ると、eスポーツは約1億人とされており、これはテニスと同等で、ゴルフの6,500万人や野球の3,500万人を上回る規模だ。
世界的な人気を誇るゲームタイトル『League of Legends』が、2019年にフランスで開催した世界大会決勝の最高同時接続数は4,400万人、平均視聴者数は2,180万人だったという。
世界市場を追随する形で、日本国内市場も盛り上がりを見せている。2022年6月にさいたまスーパーアリーナで開催された『VALORANT Champions Tour』は、有料チケット制で2日間に2万6,000人超を動員し、ライブ放送の最大同時接続数は50万人に達した。
ファン数も、右肩上がりだ。2022年の日本eスポーツファン数は約776万人と推定されている。オンライン視聴の定着により増えたファン層は2023年以降も堅調に伸びていくと見られ、2025年には1,000万人を超えると予測されている(出典:日本eスポーツ白書2023/角川アスキー総合研究所)。
「eスポーツのエコシステム自体は、メディアビジネスと同じ『2-sided-platform(ツーサイドプラットフォーム)』ビジネスとなっている」と島袋氏。
「オーディエンスであるファンとの接点を作ることで、直接領域から波及領域へと市場が広がっていきます。そのため、直接領域においては、プロのeスポーツチームが多くの事業者との接点を持っているのです」(島袋氏)
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