「買い物体験」の向上がリテールサイエンス部の役割
カルビーは、国内スナック菓子市場で51.9%という圧倒的なシェアを誇る業界No.1企業(※)だ。主力である「ポテトチップス」「堅あげポテト」「じゃがりこ」「かっぱえびせん」をはじめ、売上高100億円を超える7つのブランドを擁し、現在では世界12の国と地域へ事業を展開するグローバル企業へと成長している。
※インテージSRI+ 全国全業態 累計販売規模(金額)ベース 2025年3月期:2024年4月〜2025年3月 スナック菓子市場シェア:カルビーとジャパンフリトレーの合計
一方で、消費者との接点は主に小売の売り場にあり、顧客の購買行動を直接把握しづらいというメーカー共通の構造的課題も抱えてきた。
こうした背景のもと、2022年に立ち上がったのが「リテールサイエンス部」である。松永氏は創設時から同部署に所属し、ID-POSデータを用いた顧客理解の高度化や、小売との協業による販促施策の検討を担当している。
松永氏は、部署の立ち位置を次のように説明する。
「メーカーの立場にいると、どうしても『どの商品をどう並べるか』『棚でどう存在感を出すか』という発想になりがちです。私たちは販売部門と流通様の間に立ち、商品ではなく、お客様の買い物体験を起点に考える役割を担っています」(松永氏)
購買データで取り組む3つのテーマ
リテールサイエンス部のスローガンは「流通様の戦略的パートナーとして、売り場を通じてカルビーファンを創る」。分析結果を示すだけでなく、そこから仮説を立て、売り場での具体的なアクションにつなげていく点に特徴がある。
カルビーグループのDXロードマップにおいても、ビッグデータを活用したリテールサイエンスの深化は重要な要素として位置づけられている。
本講演では、顧客との距離を縮めるための取り組みとして、次の3つのテーマが共有された。
- 実際の購買行動に対するメディアの影響を定量的に可視化する試み
- 買い物中の意思決定をどう後押しするか、機械学習によるクーポン配布の結果
- 天候など外部要因が購買にどう影響するか、ウェザーマーケティングへの挑戦
いずれも、事前に明確な正解があったわけではなく、データをもとに検証を重ねる中で見えてきた示唆が紹介された。
