「想定外」こそがZ世代の心を動かす
前回の記事では、2025年にZ世代に刺さった広告の特徴として、「思いっきり合わせる」と「思いっきり外れる」という対極的なアプローチへの二極化について触れ、前者の「思いっきり合わせる」広告群をご紹介しました。
今回は、もう一方の極端なアプローチ、「思いっきり外れる」広告群について解説します。この広告群は、Z世代が生きる社会の「当たり前」や従来の広告表現から大きく逸脱することで、予想を裏切ってくるサプライズ感が特徴です。
ではなぜ今、「外れる」広告が評価されるのでしょうか。その背景には、生成AIの普及により「予測可能なコンテンツ」が世の中にあふれ始めたことがあります。最適化された退屈な世界を壊し、予想を大きく裏切るようなアウトプットが求められるようになっているのです。
そこで本記事では、「思いっきり外れる」広告群を4つのカテゴリーに分けた13のインサイトと、「外れる」広告を企画する際に意識すべきポイントをご紹介します。
「思いっきり外れる」群4つのカテゴリーとインサイト
- 今の社会の当たり前を外した広告:ラスト衝撃種明かし、好奇心考察、仕事熱中憧れ
- 価値観の当たり前を外した広告:固定概念打破、試行錯誤自分発見、新視点可視化
- 従来の商品効果の描き方を大きく外し、新しい効果の可視化を試みた広告:オジオバコスメ、人消し広告、継続は力なり、一文字要約
- 既存の体験価値から大きく外れた「新しい体験価値」を提供する広告:ミッションクリア対価、日常リスク実感、簡易アハ体験
「今の社会の当たり前」を思いっきり外す
1つ目のカテゴリーは、Z世代が生きる現代社会の「当たり前」を覆すような広告です。SNSで何でも見える時代だからこそ、あえて「見えない」「予想できない」体験を提供することで、強いインパクトを残します。
ラスト衝撃種明かし
広告の最後に意外性のある種明かしを仕掛けることで、視聴者の注意を一気に集める手法です。アプリやSNS上にスキップできない広告が増え、Z世代は強制視聴に慣れてしまっています。ぼんやり見ていた広告の最後に衝撃の展開があると、「見てよかった」という満足感が生まれます。
人気YouTuber・SUSURUがラーメンを堪能する様子を描いたアニメCM。エンディングロールで声優の山寺宏一が、キャラクターの声だけでなく、SNSの更新音やガスコンロの火の音、袋麺を開ける音など26種類すべての擬音を1人で演じ分けていたことが明かされる。
好奇心考察広告
考察の余地を残した広告です。変わった調査結果や豆知識を提示することで、消費者の知的好奇心を刺激します。Xなどを中心にドラマやMVの考察ブームが広まっている今、「なぜ?」と思わせる仕掛けがZ世代の能動的な関心を引き出します。
かぜ薬「ルル」の広告でありながら、「天井」「みかんの白いとこ」など一見関係のないワードが電車の吊り広告にドーンと掲載された。よく見ると、これらは風邪予防のための豆知識で、医師監修の情報を届けている。
仕事熱中憧れ
ワークライフバランスを超えて、好きな仕事に熱中する姿を描いた広告です。「ホワイト企業が正義」という風潮の中、実は高い意欲を持つZ世代は「緩すぎる職場」に物足りなさを感じることもあります。自己成長のための仕事に挑戦し、成長の負荷を受け入れながら楽しむ姿は、新たな憧れの対象になっています。
スマホゲーム開発に奮闘する若手プログラマーたちが、仲間と意見を交わしながら昼夜を問わず挑戦を続ける姿を描いている。時には「サントリー生ビール」を片手に支え合う様子を通じ、夢を追いかける人々に「仕事の未来に希望を持てる」というメッセージを届けた。
