Z世代の研究員たちが注目した広告事例を分析
当研究所では、所属する研究員たちが話題になった広告やトレンドを持ち寄り、その背景にあるインサイトを分析するトレンド発表会を毎月開催しています。
今回は、2024年12月から2025年3月にかけて注目を集めた広告事例とそのインサイトを紹介します。この時期に注目を集めた広告事例を分類すると、以下の3つの傾向がありました。
- ルッキズムノイズ防止「起用タレントギャップ」
- リアルイベントは非日常を感じる「疑似体験」が大人気
- 企業のノリの良さが試される「SNS起点広告」
これら3つの傾向をそれぞれ解説していきます。
ルッキズムノイズ防止「起用タレントギャップ」
SNSが当たり前となった現在は、「ルッキズム(※)全盛期」と言えます。しかし、ルッキズムに対してZ世代の意識は、興味深い変化を見せています。時にルッキズムを、商品選択時の「ノイズ(判断を妨げる要因)」と捉える傾向があるのです。
企業側では、広告にあえて容姿端麗なモデルを起用せず、人物を映さないことで、商品本来の価値に集中できる環境を作る工夫が見られています。
※人を外見で判断し、差別したり偏見を持ったりすることを指す言葉
オジオバコスメPR
同世代の芸能人やインフルエンサーに、コスメなどの商品を宣伝されても「元の素材がいいから参考にならない」と思われがちです。
そこで、加齢による肌悩みが多くなる年配の方を広告に起用。商品を使用し、変化した姿を見せることで、商品の実際の効果を伝えています。
「ケイト(KATE)」は、「3DアイブロウカラーZ」の発売に合わせ、藤岡ファミリーを起用したWebCMを公開。同アイテムを使用し、“ふんわり眉”に変身する様子を紹介しています。第2弾では、Web動画で見せた大変身の舞台裏を漫画コンテンツで紹介するなど、話題を持続させる工夫も行われた。
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2人の高齢女性が、リップメイクアイテムを紹介するPR動画。動画では「遂に、好きピに2度目の告白の時……」というナレーションから始まり、「戦闘力53万ですよ」「ザーボンさん、ドドリアさん、塗った瞬間ふっくら整形級プランパーです」などのユニークな表現でアイテムを紹介している。
人消し広告
わざと人を映さず、外見による先入観を排除し、商品の良さを純粋に理解できるようにした広告パターンです。
起用されるモデルなどの容姿に目を取られ、商品本来の魅力が伝わりにくくなる場合があります。そのため、あえて人の容姿を映さない広告のほうが商品の魅力に注目できると、Z世代の関心を集めていました。
価値観重視の出会いを提供するマッチングアプリ「with」の「価値観がわかる。出会いがかわる。」キャンペーン。第1弾はアンバサダーを務める芸人6人の好きなものや趣味、考え方、生活スタイルなどの価値観を表現した屋外広告や交通広告が展開された。期間中「#このひとだーれだ」チャレンジをXで実施し、第2弾で正解を発表するという仕組みで話題を生み出している。
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GUの新作スカートの紹介動画。商品を着用したモデルの顔と手足を透過処理しており、まるで透明人間が服を着ているような表現になっている。これにより、商品に目が行くようになり、自分が着た時のイメージもしやすくなる効果を生み出している。
