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注目マーケティングトピックス2025

マーケターはいても「価値創造人材」は少ない?元資生堂・北原氏がたどり着いた「最高のチーム」の作り方

 大手事業会社でトップマーケターとして活躍し、数々のNo.1ブランドを創ってきた北原規稚子さんが、2025年に独立しました。その背景にあったのは、マーケターとしての「原点回帰」だったようです。北原さんのキャリア、捉えている課題、これからのキャリアでのテーマと新たな挑戦について、インタビューしてきました。

独立の背景にあったのは、マーケターとしての「原点回帰」

MarkeZine:長く事業会社でトップマーケターとしてご活躍されてきた北原さんですが、2025年に独立してMICHIを設立されました。改めて、独立の背景にあった思いをうかがえますか?

北原:キャリアのスタートまで遡るのですが、私は元々「モノ作り」がしたくてマーケターになったんですよ。企業でそれを実現するにはマーケティングという職種が良いらしいと知り、最初に入った会社でマーケティングを志望しました。最初は営業に配属され、スーパーの裏で段ボールの山をひたすら片づけていく……みたいな日々も経験しましたね。

 その後、マーケティング部に異動しまして、最初はボディソープと入浴剤のカテゴリを担当しました。私が非常に幸運だったのは「薄利多売ではなく、高付加価値・高単価で利益を出す」ための価値創造を最初に学べたことです。その時は、ボディソープと入浴剤にスキンケアの機能を付加した商品を企画・開発し、「洗う・浸かるという日本の入浴文化がそのままスキンケア時間に変わる」という新しい価値を提案しました。ボディソープ・入浴剤のカテゴリにおける競争の軸を変えたわけです。

MICHI CEO/Brand Creator 北原規稚子(きたはら・みちこ)2002年にライオンへ入社。営業を経て、ライオン史上最年少の27歳でブランドマネージャーに就任し、ボディケアの新ブランド立ち上げに従事。2010年に資生堂入社。TSUBAKI、ELIXIR、MAQuillAGEなどのブランドマネジメントを経てマーケティング本部長、新価値創造マーケティング本部長等、マーケティング組織を広く管掌。2025年にMICHI inc.を設立して独立し、幅広い分野で事業会社側に伴走し、ブランディングやコンセプト開発、新価値創造の支援を行う。自身がデザインするアパレルブランド「MIDOT」も展開。
MICHI CEO/Brand Creator 北原規稚子(きたはら・みちこ)
2002年にライオンへ入社。営業を経て、ライオン史上最年少の27歳でブランドマネージャーに就任し、ボディケアの新ブランド立ち上げに従事。2010年に資生堂入社。TSUBAKI、ELIXIR、MAQuillAGEなどのブランドマネジメントを経てマーケティング本部長、新価値創造マーケティング本部長など、マーケティング組織を広く管掌。2025年にMICHI inc.を設立して独立し、幅広い分野で事業会社側に伴走し、ブランディングやコンセプト開発、新価値創造の支援を行う。自身がデザインするアパレルブランド「MIDOT」も展開。

 次第にスキンケアや化粧品のマーケティングを追求したいという思いが強くなり、資生堂に転職しました。資生堂は日本でスキンケアの文化を創ってきた素晴らしい会社です。資生堂ではBM(ブランドマネジャー)として担当したブランドは全てNo.1にしましたが、「すべてが成功した」というよりは、「成功するまでやった」という表現が正しいと思います。

MarkeZine:スタート時から「モノ作り」「価値創造」がテーマにあったんですね。それにしても、「成功するまでやった」という言葉はなかなかのパンチラインです。

北原:キャリアを重ねるうちに、マーケティング全体やコーポレートブランディングなどを管掌する立場になり、数字と対峙する場面や責任が増えていきました。その時々でやりがいも感じていたのですが、「自社が競合からシェアを1%奪ったら、1ミリでも社会や人々の生活が良くなるのだろうか」という問いが頭をよぎるようになりました。

 そうした中で、「価値創造」という自分のマーケターとしての原点に改めて向き合いたい、微力かもしれないけれど自分のマーケティングスキルを活かして日本経済に貢献したいという思いが大きくなり、独立を決めました。

機能の「ベター競争」では、大きな成長は遂げられない

MarkeZine:市場が縮小傾向にある昨今、多くの企業にとって「新価値創造」は避けて通れない課題となっています。

北原:そうですね。経済が成長していた時代は、モノの機能軸で競争し合っても、競合と利益を分け合うことができていました。日本はモノ作りに長けていたために、ブランディングやマーケティングの発展が遅れたのではないかと思います。しかし今は、皆さんご承知のとおり、「モノの機能」を軸にした競争では生き残れなくなっています。

 実際、機能のベター競争をしているうちは、売上が劇的に伸びることはありません新しい価値を創造できた時に、1.5倍・2倍といった大きな成長を遂げることができる。価値創造は企業の持続的な成長に不可欠となっています。

 ただ、価値創造人材は多くの企業で枯渇している印象があります。

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購入意向1%の新商品を通せる「勇気」「センス」があるか

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/08 08:30 https://markezine.jp/article/detail/50159

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