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実務者が選ぶマーケティング本大賞のお知らせ

【受賞対談】田岡凌×木下勝寿:AI時代を勝ち抜くには?二人が重視する「顧客理解/実行力/人材育成」

 翔泳社は、2025年に「実務者が選ぶマーケティング本大賞」を初開催しました。今回、アワード受賞者の田岡凌氏(『カテゴリー戦略』著者)と、木下勝寿氏(『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』著者)の特別対談が実現。複数の観点から、お互いのマーケティング論について議論を交わしました。経営層を含むマーケティング実務者、必読の内容です。

「実務者が選ぶマーケティング本大賞」を受賞した2人で対談

田岡:翔泳社さんが今年開催された「実務者が選ぶマーケティング本大賞」の受賞をきっかけに、本日の対談をオファーさせていただきました。

 木下さんの書籍は以前からかなり読み込んでいます。特に『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』は、前職でWeb動画広告を研究していたときに拝読し、非常に解像度が上がった記憶があります。今回は、それぞれの書籍のテーマを交えながらお互いのマーケティング論をお話しできればと思っています。

(左)田岡凌著『急成長企業だけが実践するカテゴリー戦略 頭に浮かべば、モノは売れる』(右)木下勝寿著『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』
(左)田岡凌著『急成長企業だけが実践するカテゴリー戦略 頭に浮かべば、モノは売れる』
(右)木下勝寿著『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング Webマーケティングの成果を最大化する83の方法』

 まずは私の書籍から、木下さんは「カテゴリー戦略」について、どのような考えをお持ちですか?

木下:カテゴリー戦略はベースとして重要だと考えていますが、それだと対談として面白くならなそうなので、今日はあえて異論を唱えてみようと思います。

 カテゴリーを自ら作り、そこでナンバーワンを目指すというのは1つの戦略としてあると思います。しかし、必ずしもカテゴリー1位の企業が最も儲かるわけではないですよね。たとえば、誰かが作ったカテゴリーで2位を狙うことで、販促費をかけずに利益率を高める戦略もあります。

田岡:おっしゃる通り、そのようなケースも往々にしてありますね。

木下:私が経営する北の達人コーポレーションのように、他社は出していないようなユニークな商品を展開する場合、安易にカテゴリー化してしまうと他社に便乗する隙を与えてしまいます。あえてカテゴリー化せず、既存カテゴリーの中で異質な商品として差別化させるほうが事業効率がいいわけです。また、リアルな流通では棚の制約があるので、カテゴリー1位の重要性が高いですが、ネットではその重要性は下がります。

 そこで田岡さんにお聞きしたいのですが、カテゴリー戦略が向いているジャンルや商材はあるのでしょうか?

田岡:商材ではありませんが、主に2つの観点があると考えています。1つ目は、非連続な成長を狙う場合。新たなカテゴリーを創造し、そこで確固たるポジションを確立できている企業は、往々にして非連続的なビジネス成長に成功しており、結果的に世の中を大きく変えていることが多いです。

 2つ目は、時代の変化への対応です。テクノロジーの進化が加速している今、社会の変化もますますスピーディになっています。既存の枠に留まらず、変化を捉えて新しいカテゴリーを創り、そこで自社のポジションを確立していくことは重要だと考えています。

木下:なるほど。そうすると「事業を作りたいならカテゴリー戦略」「商売を作りたいならカテゴリーNo.2」と考えるといいかもしれませんね。

田岡:まさにそうですね。近年は大手企業も市場の鈍化の課題に直面しているところが多く、中長期的な事業創造が喫緊の課題となっています。一方で、経営者としては、目の前の利益率、事業の効率性も必須であり、両方の視点を持つ必要があると改めて感じました。

木下氏の書籍から学ぶ「Howをやり切る」ことの重要性

田岡:続いて、木下さんの書籍にテーマを移したいと思います。私が『ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング』で一番共感したのは「Howをやり切る」ことの重要性についてです。昨今は「Who・Whatが大事」という風潮が強くなっていますが、AIを活用して一人で実現できる範囲が一気に広がったので、AI時代こそWho・What・Howをすべてやり切ること、スピーディーに回していくことの重要性が高まっていると感じています。

 木下さんは、当時どのような思いでこの書籍を執筆されたのでしょうか?

木下:この本は、Webマーケティングが広がってきたタイミングで執筆しました。マーケティングの意思決定は「仮説」に頼るしかなかったところから、「数字」を見られるようになった。これは大きな進歩ですが、数字を追うだけのデジタルオペレーションをマーケティングとするような誤った認識が出てきていると感じ、それを整理したいという思いがありました。

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「顧客理解」こそ再現性のあるマーケティングスキルである

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50162

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