生成AIが変える購買行動、エージェント時代の幕開け
生成AIは、購買行動に大きな影響をもたらしている。Criteoが2025年4月に行った米国・英国のユーザーを対象とした調査では、85%が買い物でAIツールを使用していた。一方、日本では生成AI利用者は11%にとどまり、まだ普及の途上にある。
ただし、生成AIを利用している場合でも、AIインターフェース内で購入まで完結する人はわずかで、70%は生成AIの提案に加えて、公式サイトやECサイトでさらに情報収集を行っている。つまり、現時点での使用目的は「発見」と「比較」が中心であり、「意思決定」にはまだ完全には活用されていない。
しかし、それも時間の問題かもしれない。
「近い将来、多くの人が自分専用の“ショッピングエージェント”を持ち、そのパーソナル・ショッピングエージェントがブランドのAIエージェントと連携して、検討から購入までを代行するようになるでしょう。2026年頃に大きな勢いが生まれると予測しています」。そう語るのは、Criteo CTOのディアミド・ギル氏だ。
エージェンティック・コマース実現への第一歩として、ディアミド氏はOpenAIが発表した、EtsyやShopifyの加盟店向けに、ChatGPTのプラットフォーム上で購入できる「Instant Checkout」機能を例に挙げる。Criteoの内部データでは、この機能によって購買プロセスが平均で4日間短縮されたという。
これは、マーケターにとってあらゆるタッチポイントがこれまで以上に重要になることを示している。では、AIの進化は消費者の購買行動にどのような影響を与え、それにマーケターはどう対応すべきなのか?ディアミド氏は、次の4つの問いと答えを語った。
- エージェンティック・コマースとは?
- AIがコマースに与える影響とは?
- Criteoがマーケターに提供できる支援とは?
- マーケターは新時代にどう備えるべき?
エージェンティック・コマースとは?
エージェンティック・コマースとは、「AIエージェントが消費者に代わって商品を探し、比較し、さらには購入まで行うという新しい購買体験です」とディアミド氏は説明する。
「重要なのは、単なるAIレコメンドではなく、消費者が自分専用の『パーソナル・ショッピングエージェント』を持つようになるということです」(ディアミド氏)
たとえば「誕生日会で使うグッズを買いたい」と伝えれば、AIエージェントが検索から決済まで代行してくれる。既に金融サービスの分野では、Mastercard、Visa、PayPalなどがボットによる購買を可能にする決済サービスを開発しているという。
AIエージェントが代わりに購入してくれると聞き、懐疑的になるユーザーもいるだろう。その疑問に対し、ディアミド氏も「パーソナル・ショッピングエージェントがAIアシスタントと同等に普及するためには『信頼』の構築が必要となり、企業は3つの課題を克服しなければならない」と語る。

