リテールメディア文脈の新たな活用方法
──Criteoと楽天グループは、10年以上に亘って強固なパートナーシップを築いてきました。両社でどのようなことに取り組んできたのか、お話しいただけますか?
松尾(Criteo):当社が日本オフィスをオープンした当初より、主力ソリューションであるリターゲティング広告を「楽天市場」にて利用いただいています。

松尾(Criteo):現在では「楽天トラベル」「楽天モバイル」「Rakuten Fashion」「楽天銀行」といった楽天グループ様の様々なサービスにおいて、リターゲティング広告はもちろんのこと、プロスペクティング広告や動画広告など当社のマーケティングソリューション全般を利用いただいています。
また、楽天市場のオーディエンスデータとCriteoのテクノロジーを組み合わせたソリューション開発にも力を入れています。直近では、楽天市場のオーディエンスデータを活用した新広告ソリューションをこのたびリリースしました。
──新広告ソリューションは、Criteoが注力しているリテールメディア領域の一環なのでしょうか?
松尾(Criteo):当社では、リテールメディア専用のプラットフォームをプロダクトとして既に提供しています。そもそもリテールメディアとは「小売事業者が保有する会員のデータ、アプリ、ECサイト、実店舗などの資産を活用し、オンライン広告、クーポン、店頭サイネージなどの媒体を通じて、消費者とのコミュニケーションおよび広告効果の可視化を図るためのソリューション」であると解釈しています。今回のソリューションもその一環と言えます。
楽天市場への送客で購買を後押し
──これまでも楽天のデータを活用した広告配信の仕組みはあったとうかがっています。
日下部(Criteo):おっしゃるとおり、既にCriteoは楽天が提供する「RMP-Display Ads」の配信先の一つです。こちらは主にクライアントの自社ECサイトなど、オウンドメディアへの送客に使われています。

日下部(Criteo):その上で、クライアントから「楽天市場内部に送客したい」との声が数多く寄せられました。楽天ユーザーの中には楽天市場でショッピングをする方が多いため、そちらへ誘導したほうが購買につながりやすいのでは? という仮説が声の背景にあります。
秦(楽天):当社でも同様のクライアントニーズを感じていました。かつては自社ECサイトと楽天市場を異なる部門で管理・運営する企業が多かったのですが、最近では両者を同じ「EC事業」と捉え、部門横断でマーケティングを推進するケースが増加しています。

秦(楽天):その兼ね合いもあり、楽天市場のユーザーデータを活用したセグメント配信においては「自社ECサイトよりも楽天市場に送客したほうが高いCVRを期待できる」という認識が広がっているのです。
日下部(Criteo):新広告ソリューションは「楽天データ×Criteo」という仕組みはそのままに、楽天市場内部へ送客することにより、メーカーや出店店舗の販促・マーケティング施策を支援できます。