SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Spring

AI×マーケティング「投資」の羅針盤~不確実な時代に適切な意思決定を行うために~

AIマーケティングへの投資、どのくらい本気で始めていますか?戦略設計前に知っておくべき基本を整理

 今、マーケティング領域でのAI活用は「試行」から「本格投資」のフェーズへと移り変わっている。しかし多くのマーケティング責任者が、AIマーケティングへの対応や組織の実装レベルをどう判断し、どの程度の予算を投じるべきかという「投資戦略」の策定に苦慮しているのではないか。本連載では、AI検索最適化(AEO)のプロフェッショナルでありSpeeeのマーケティング責任者を務める藤井慧里氏が、AIマーケティングへの投資戦略のポイントを整理していく。第1回では、2026年現在のリアルな市場データをもとに、マーケティング領域で起きている4つの主要変化と、投資対効果を最大化するための判断基準を解説する。

AI×マーケティングは「関心」から「本格検討」フェーズへ

 2025年はAI実装元年といわれ、皆さんのビジネス・実生活の中でもAI活用シーンが増えたのではないでしょうか。マーケティング領域でも同じくAI活用が大きなテーマになっており、2026年からは本格的にAI投資を考えているマーケティング責任者も多いと思います。

 当社(Speee)のマーケティングコンサルティング事業に寄せられるご相談でも、2025年を通してAI検索最適化(AEO)関連の相談が学習・興味関心から本格的な投資検討へと移り変わってきており、消費者行動変化に対する事業者側の変化を感じています。

 また、筆者自身もセールス&マーケティング部長として社内の効率化からリード獲得まで幅広く対応を迫られている中、AIがもたらした外部環境変化によって舵取りの難度が一気に上がっている肌感を持っています。そこで本連載では、AEOのプロフェッショナル/セールス&マーケティング部長を兼任する立場から、現時点でマーケティング責任者がAIについて視野に入れるべきことを整理しつつ、投資戦略について考えていきたいと思います。

 まずは、改めてAIによってもたらされたマーケティング領域の主要変化をまとめましょう。

 今回は、「(1)顧客接点の変質」「(2)コンテンツ制作・広告ROIの改善」「(3)ブランド信頼の毀損リスク」「(4)組織的な競争力格差」という4つのカテゴリーに切り分けて見ていきます。

AI実装による、マーケティングの4つの主要変化とは?

(1)顧客接点の変質:AI型購買モデルへの変化

 これは言わずもがなですが、消費者の情報探索行動にAIが入り込みはじめました。これまでは検索エンジンやSNSで行っていた情報の探索・収集行動が、「2月の連休に東京から日帰りで旅行に行きたいので予算3万円以内で楽しめるプランを3つ出して」のように、AIに聞く形に変化し始めています。

 この変化は特にAI活用率が高い若年層や、金融業界・B2Bなどの「商品選定における真剣度合いが高いにもかかわらず判断力を発揮しにくい業界」で顕著に見られています。

各業界の自然検索におけるAI流入比率(SimilarWebのデータより各業界の主要5サイトを集計/2025年10月時点)
各業界の自然検索におけるAI流入比率(SimilarWebのデータより各業界の主要5サイトを集計/2025年10月時点)

 ただし、いかにAI検索が進んでいる業界であっても、当然ながらすべての消費行動がAIに置き換わっているわけではありません。将来的にはAIがすべての比較検討・購買を受け持つことも見込まれていますが、過渡期の現時点においてはむしろ「従来のマルチチャネルでの購買行動の中にAIという強力なチャネルが加わった」と考えるほうが適切に思います。

 以下に、従来型購買モデルとAI型購買モデルをイメージ図で示しました。

クリックして拡大

 AI型購買モデルには、従来型購買モデルにはなかった特徴が多くあります。たとえば、AIで情報を整理し、最終的には従来の検索にてファクトチェックや詳細な調査をしてから購買に移るという行動が見られます。人々はまだまだAIの情報に対して懐疑心があることから、このような行動につながると思われます。

 また、比較検討行動の短縮化・合理化も大きな特徴といえます。従来型購買モデルで保険のような金融商品や大型家電などの高額商品を選ぶ時に、自分で情報を集め、商品選定軸を決め、軸に沿った商品の比較検討を行うにはたいてい相当な時間を要します。その割に、「うまく自分の価値観に合った商品選びができず満足を得られなかった」という経験をした方もいるのではないでしょうか。

 AIの登場がその状況を大きく変えており、誰でも従来型より短時間で合理的な判断をできる可能性が高くなりました。その証左として、AI検索を経由してサイトを訪れるユーザーは購買意欲が高く、コンバージョン率が従来型検索経由の数倍に達することも珍しくありません。

 マーケターにとっては、自社の新たなセールスパーソンとしてChatGPTやGeminiを味方につけることで、より自社商品を選んでもらえる環境が整ったといえるでしょう。

 一方で、定量で見ると実はまだまだ従来型購買モデルからのコンバージョンが主流で、AI型購買モデルはごく少数です。

 以下は当社の協働クライアントで、日米でECを展開しているサイトの実際の流入データを集計したものです。確かに、直接的にAIを経由したコンバージョンは急速に増加している一方で、全チャネルの合計コンバージョン数に対しては1%程度です(当然従来チャネル経由CVも減少していません)。

 当社では常に数百社のサイト流入データを観測していますが、この傾向自体は2026年1月時点、ほぼすべてのサイトでいえることです。

※Speee AI リサーチ&イノベーションセンターの協働クライアント(小売業)のCVデータより作成
※Speee AI リサーチ&イノベーションセンターの協働クライアント(小売業)のCVデータより作成

 現時点で「AI→(離脱)→他チャネル→コンバージョン」というルートになった場合、AIのアトリビューション計測はできませんので、このデータだけでAI型購買モデルが1%程度であるとは言い切れません。

 このあたりは、実際のユーザーインタビューや営業からのヒアリングなどを通じて実態を掴みつつ想定するのが有効かと思います。たとえば当社ではお問い合わせがあった際に、営業からお問い合わせ経路を必ず確認するようにしていますが、「AIでの推奨」は7%となり、過半数は「Google検索した時にSEO・リスティング順位が高かったから」という結果になっています。

 これだけだと「単にAI検索で見つけられていない(推奨順位が低い)だけでは? 」という疑問もあるかと思います。しかし当社では、ChatGPTにおける主要プロンプトでの推奨順位や言及率を観測しており、それらの指標において競合比較でも高い水準を獲得できていることから、総合的に見て「我々の見込み顧客においてAI型購買モデルへの移行度はまだ1割未満だろう」という判断をしています。

クリックして拡大

▼「AEO・LLMOコンサルのおすすめを教えて」で1位獲得

※GPT-5.2(ChatGPT)使用、2026/1/9時点

 自社のAI型購買モデルへの移行度合いをどう計測するか、どう推奨順位を上げていくのかといった具体的な内容については、本連載の次回以降で取り扱っていきます。

次のページ
(2)コンテンツ制作・広告ROIの改善:コスト削減を超えた質的パフォーマンス向上にもAIが寄与

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
この記事の著者

藤井 慧里(フジイ エリ)

 飲食業界での企画・コンサルティング職を経て2014年Speeeに参画。デジタルマーケティング領域においてクライアント支援に従事し、事業成長実現の実績多数。その後コンサルティング組織のサービス品質管理責任者として、変革推進・人材育成に従事。2020年よりセールス&マーケティング部の部長として、自社のマーケティングDXとセールスイネーブルメントに着手。無形商材販売という属人的になりがちな領域におけるイネーブルメントメソッドを開発し、着任から2年で歴代最高売上記録の更新...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/02/06 08:30 https://markezine.jp/article/detail/50326

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング