SNS支援のホットリンクが「SNSをうまく使ってる」「あの企画良かった」という企業に取材し、成功の秘訣を探る本連載。今回はハウス食品のスパイスブランド「GABAN(家庭用製品)」です。2024年5月に開設したInstagramアカウント「GABAN Magazine」は、わずか1年半でフォロワー10万人を突破。中期経営計画で掲げる「洋風スパイス売上No.1」を実現するため、純粋想起率をKPIとしてSNS運用を通じたブランド育成に取り組んでいます。KPI設定や、具体的な取り組みの工夫について、ハウス食品の中村りか氏、丸子絵里奈氏、伊藤禎尚氏に話をうかがいました。
洋風スパイス売上No.1を目指し、Instagramを開設
――はじめに皆さんのご担当領域について教えてください。
中村:私たちは、事業戦略企画部のブランドプロモーション企画課に所属しています。課内にはカレー、レトルト、スナック、デザートなどを担当するチームがある中で、私たちはパウダースパイスを担当しています。パウダースパイスの中核でもあるGABANブランドについては、GABAN Magazineを基点にした、プロモーションの企画立案・実行をしています。
伊藤:私は現在、主にGABAN Magazine内のシェフコンテンツの制作や営業支援、スパイスに関する情報収集なども行っています。
丸子:私は中村や伊藤とは別のチームに所属し、ペーストスパイスとパウダースパイスを横断するようなプロモーション企画を担当しています。たとえば、そうめんなど季節で流通量に強弱のある商品に対して、スパイス全体を使ってどのようなプロモーションを仕掛けるかなどを考えています。また10年以上の営業経験を活かして、GABAN Magazineを活用した量販店での販促や営業との連携を主に担当しています。
――GABAN Magazineの役割や位置づけ、KPIについて教えてください。
中村:当社は中期経営計画で「洋風スパイスの売上No.1を目指す」という目標を設けています。特にGABANの売上を強化するべく、2024年5月末にInstagramアカウント「GABAN Magazine(@gaban_magazine)」を立ち上げました。KPIは純粋想起率の向上としています。
――KPIをフォロワー数などわかりやすい指標にしていない理由はなんですか?
伊藤:もちろんフォロワー数も注視していますが、フォロワー増はゴールに向けたプロセスのひとつです。純粋想起率はブランドを継続的に育成していくための、KGIに近い、重要度の高いKPIなのです。
スパイスというカテゴリーは、ブランドの指名買いが起きにくいです。しかし、GABANは元々業務用のスパイスで、お客様にも一定そのように認知いただけています。Instagramのコンテンツを通して、さらに「スパイスといえばGABAN」と想起してもらうことで、ブランドを強化できると考えています。また、弊社の調査によって「純粋想起率を上げることが売上につながる」というデータもあり、純粋想起率向上を目指すことはInstagram以外も含め社内の共通認識のひとつになっています。
中村:純粋想起率はすぐに上がるものではありません。しかし、一度高めることができれば、永続的な関係作りが可能です。Instagram運用は短期的な売上促進策ではないという意味合いが大きいため、半期に一度、社内でも「GABAN Magazineは純粋想起率に寄与するもの」と必ず説明しています。また、体験価値をキーワードに、リアルイベントとInstagramを連動させる取り組みも始めています。
ブランドガイドラインを軸に、投稿の3本柱を確立
――アカウント運用において、ターゲットやコンテンツの方向性はどのように組み立てていますか。
伊藤:GABANを強化していく前段階で、改めて「GABANのブランドとは何か」を考え、ブランドガイドラインを策定しました。ワークショップやリサーチを重ね、ブランドとしての思いとお客様の実態を言語化し、生まれたのが「プロフェッショナルインスピレーション」や「あなたのそばにいるプロ」という言葉です。これらを大切に、軸をブラさない運用を重要視しています。
中村:ブランドガイドラインを踏まえてInstagramのトンマナや、ターゲットを決めています。迷ったときに立ち返れる「道しるべ」ですね。
具体的なターゲットとしては、アカウント開設1年目は「料理にこだわりのある人」、2年目からはもう少し裾野を広げて「料理好きな人」としています。コンテンツは月8本投稿しており、シェフコンテンツが5本、料理家コンテンツが2本、「何でもやってみる」がコンセプトのオリジナルコンテンツが1本という割合です。
当初はターゲットが料理にこだわりのある人だったので、プロが家でも作れる料理を紹介することで、料理への「憧れ」や「作ってみたい」という気持ちの醸成を狙い、シェフコンテンツをメインにしてきました。一方で、もっと簡単にスパイスを試していただきたいという思いもあるので、本格的な料理に比べると簡便な使い方ができる料理家コンテンツも用意しています。
また、オリジナルコンテンツはスパイスの説明や読むレシピ、スパイスに合う食材や調味料の実験的な要素を含めるようにしています。
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落合 真彩(オチアイ マアヤ)
教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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