ユニリーバのブランド「ダヴ(Dove)」は、いかに若年層になじみのあるブランドになるかという課題を抱えていた。そんなブランドイメージの転換点となったのが、従来の約10倍の高単価製品であるボディケア製品「ダヴ ふわとろクリーミースクラブ」だ。同ブランドは、若年層の関心をつかみSNSで拡散した勢いを高めるため、Metaのパートナーシップ広告を活用。同カテゴリー平均の10倍という、驚異的な購入意向リフトを実現したという。この施策の舞台裏を、ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング株式会社の前納有紀子氏、小澤晴花氏、Meta アカウントマネージャー 木崎紘美氏が明かした。
ユニリーバのマーケティング戦略「Social First」の本質
──ユニリーバは、グローバルで「Social First」を掲げていますが、単にソーシャルメディアへの投資を増やすということではないそうですね。その真意をお聞かせください。
前納(ユニリーバ):私たちは、2025年から「Social First Demand Generation」という戦略でコミュニケーション活動を進めています。これは、人々の興味関心に寄り添って、ブランドプロモーションを行い、需要を喚起するというアプローチです。
前納(ユニリーバ):AIやアルゴリズムによって、人々が情報や時間を自分の興味あるもの中心に消費する傾向が強くなってきています。そんな環境の中で選ばれるためには、「絶対欲しい!」という強いニーズと共感を呼び起こす必要があります。そのため、人々の興味関心に沿ったブランド接点を作るべく、ソーシャルメディア、特にインフルエンサー活用に注力しています。
そしてこの戦略は「効率を上げるか」という視点も重要です。投資が増えるのは理想ですが、「現状の予算で最適な分配を行い、投下するメディアの質を高めてリターンを最大化する」よう改善を重ねているのが現在の状況です。
小澤(ユニリーバ):補足すると、「Social First」は「消費者それぞれの興味関心に合わせたコミュニケーションをしましょう」という、本質的な意味合いが強いです。人々の興味関心に寄り添うことが、この戦略の核となっています。
「ダヴ」が狙うプレミアム化、ヒット商品は約10倍の価格帯
──「Social First」という方針の中で、当時「ダヴ」ブランドはどのような課題を抱えていたのでしょうか?
前納(ユニリーバ):ダヴは、長年マス市場で親しまれてきました。そのため若年層からは「イチキュッパの詰め替えを売るブランド」というイメージが強かったと思います。それもあってか、ダヴのボディウォッシュの広告コミュニケーションにおいて、エンゲージメントの獲得は困難でした。
これに対し、ダヴ製品の平均価格帯の約10倍の「ダヴ ふわとろクリーミースクラブ」は、まさにブランドに新たな“扉を開いた”存在です。
柔らかいテクスチャーと甘い香りが特徴のボディスクラブで、ご褒美消費のトレンドもあり、数年前からSNSで好評をいただいており、特に若年層からの注目が高いため若年層にはアプローチする軸の役割を担っています。
前納(ユニリーバ):ブランド全体で見ても、ソーシャル投資の判断がより合理的になり、「高単価化(プレミアム化)」への扉が開きました。
──オーガニックな形でソーシャルに広がるよう、発売時から意識してコミュニケーションを設計したのでしょうか。
前納(ユニリーバ):高単価製品のため「ただ出すだけでは売れない」と考え、チャネルを限定し反響を得てから、次のチャネルへと広げていくことにしました。美容系インフルエンサーのトレンドセッターの方々から好評価を得られた結果、さらにクチコミが波及。今ではドラッグストアでナショナル展開できるレベルに到達しています。
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岩崎 史絵(イワサキ シエ)
リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。
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