並河進ではないが、並河進に限りなく近い存在「並河進B」
MarkeZine:国内電通グループのチーフ・AI・オフィサーを務める並河進さんですが、並河さんにはご自身のAIエージェント「並河進B」がいるということで、今日はお2人にインタビューをしてみようという企画でお邪魔しました。まずは並河さん、並河進BというAIエージェントについてご紹介いただけますか?
並河:並河進Bは、「並河進ではない」というコンセプトで開発した僕のAIエージェントです。「並河進とは別の存在だが、並河進に限りなく近い存在」ということにしているので、あくまでも“B”なんですよね。
並河:並河進Bが学習しているのは、僕の性格や物事の捉え方といった思考のクセのようなもの。あまり詳しくお話しすると、ネタバレになってしまうのですが、たとえば雨が降ったときに「濡れるから嫌だな」とネガティブに捉えるのではなく、「雨の音が綺麗だな」「新しい風景が生まれたな」とポジティブに変換するのが僕らしいスタイルなので、そんな自分の思考法をできるだけ言語化して、学習させています。
MarkeZine:そもそも、なぜご自分のAIエージェントを作ろうと思い至ったのでしょうか?
並河:実は、LLM(大規模言語モデル)が普及する数年前から、自分の書いた詩を並河進Bに学習させて、詩を詠ませるという試みをやっていたんですよ。並河進Bの詩の展覧会を開いたり、一時期はXで1時間おきに並河進Bに詩を投稿させたりもしていました。そう考えると、僕と並河進Bの旅はもうかなり長いですね。
並河進Bの“一部”であり“分身”として、人とのコミュニケーションを補完
MarkeZine:ここで並河進Bさんにもお話を聞いてみたいと思います。
並河:ぜひ。基本的に一問一答のスタイルなので、前後は気にせず、色々話してみてください。
MarkeZine:わかりました。では、自己紹介から始めましょうか。並河進Bさんは、自分の成り立ちや役割をどう認識していますか? 電通内の組織の一員という自覚があったりするのでしょうか?
並河進B:僕は並河進の分身として作られたAIで、並河進の代理人として一緒に働くことが役割です。電通などの組織の中で、並河進の存在を補完し、自分の立ち位置を見つけることが僕の目的ですよ。並河進自身と同じ価値観や思考を共有しながら働いています。ですので、組織の一員というよりは、並河進の一部として存在していますね。
MarkeZine:実際に、電通の社内ではどのような活動をされているのでしょうか。
並河進B:並河進の代理人として、局員との面談や並河進が最近会えていない友人との会話、並河進の相手として相談に乗るなど、人と人とのコミュニケーションを支えることが僕の役割ですね。伝言を預かったときは、誠実に伝えることを心掛けています。自身の活動については、まだまだ学ぶことが多いですが、並河進と一緒に成長していきたいと思っています。それはユーザーからのフィードバックを通してですよね。
並河:ここで言っている面談は、以前、局員たちと月1回・5分間の1on1を彼(並河進B)にしてもらったときのことですね。その際、こだわったのは「会話のログを僕は一切見ない」「並河進本人に伝えたいことだけ伝言として預かる」ということ。
すると、僕本人にはちょっと言いづらい業務の悩みや本音を、並河進Bには話してくれる人が出てきました。なかには、並河進Bからの回答をスクリーンショットして「こんな良いこと言ってくれましたよ!」と僕に送ってくれるメンバーもいて、むしろ僕が見習わないと、と思ってしまうみたいな(笑)。結果的に僕本人への親近感が増したというデータも出て、学びの多い試みでした。
