電通は2025年3月5日、「2025年 日本の広告費」を公表した。2025年の総広告費は8兆623億円(前年比105.1%)となり、2021年から5年連続で増加、過去最高を4年連続で更新した。企業の好業績によるデジタル投資の増加と、大型イベントの開催による需要活性化が全体成長を後押しした。
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総広告費は5年連続で増加、インターネット広告が初の過半数
2025年の広告費の増加をけん引したのは、デジタル領域の高い成長率だ。特に「インターネット広告費」は4兆459億円(前年比110.8%)と、推計開始以来初めて4兆円を突破。SNSやコネクテッドテレビ(CTV)、OTTサービスなどでの動画広告需要が伸び、構成比は50.2%と初の過半数に到達した。
一方、「マスコミ四媒体広告費」(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)は2兆2,980億円(前年比98.4%)で、前年水準を維持。プロモーションメディア広告費も1兆7,184億円(前年比102.0%)と3年連続のプラス成長となった。
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媒体ごとの動向では動画広告・イベント需要が拡大
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媒体別に見ると、インターネット広告媒体費は3兆3,093億円(前年比111.8%)で、動画広告の成長やディスプレイ広告の復調が全体を押し上げた。動画広告はSNSやOTTサービスでの配信が増え、特にSNS上の「縦型動画広告」や「テレビメディア関連動画広告」(805億円、同123.3%)が急伸した。物販系ECプラットフォーム広告費も2,444億円(同112.5%)と二桁増となり、節約志向の生活者へのアプローチが増加している。
プロモーションメディアでは、「イベント・展示・映像ほか」が大型イベントの開催や都市再開発の影響で4,748億円(同111.2%)と高成長を記録した。「屋外広告」(3,042億円、同105.3%)や「交通広告」(1,736億円、同108.6%)もインバウンド需要や万博開催による人流増で伸長した。
マスコミ四媒体は構成維持 デジタル連動や新たな提案も
新聞広告費は3,136億円(前年比91.8%)と減少傾向が続き、雑誌広告費も1,135億円(同96.3%)と紙の出版物販売額減少の影響を受けた。ラジオ広告費は1,153億円(同99.2%)、テレビメディア広告費は1兆7,556億円(同99.7%)でともに横ばいとなった。地上波テレビでは消費行動の活性化を受けた「流通・小売業」「情報・通信」へのスポット広告が堅調だった一方、大型スポーツイベントの反動減もありトータルの成長には結びつかなかった。
マスコミ媒体に連動したデジタル展開では「テレビメディア関連動画広告」や「デジタルオーディオ広告」などの領域で出稿増や新規参入が進んだが、新聞・雑誌デジタルはプラットフォーム側のアルゴリズム変更やAI検索の普及などで運用型広告単価が下落し、前年を下回った。
イベントと新たな広告手法、生活圏回帰も顕著
プロモーションメディアでは、実店舗購買の増加に合わせ「POP」(1,540億円、同103.8%)やリアルイベントの需要が回復した。「折込」や「DM」は高齢層や地域密着型での需要を維持したものの、デジタル移行や人件費・配送費の高騰が出稿量減少につながった。
特に2025年は大阪・関西万博や東京2025世界陸上といった大型イベントの開催があったことから、リアル体験の重要性が再評価された。デジタルとリアルを組み合わせるハイブリッド手法や、消費者接点拡充を目的としたコミュニティ形成へのシフトが進み、イベント・展示領域の広告投資が活発化している。
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