2025年11月開催のMarkeZine Day 2025 Retailでは、ブランド体験とチャネル戦略がテーマのセッションにアンカー・ジャパンの執行役員 事業戦略本部長を務める芝原航氏が登壇。Amazon特化の販売戦略で急成長を遂げた同社は、現在はコンビニや家電量販店、直営店、自社ECと販路を多角化し、強固なブランド体験を構築している。本記事では、事業拡大を支えるチャネル戦略と組織論、そしてECサイトや会員システムのリニューアルをはじめとする体験設計の全貌を紹介したセッションの様子をレポートする。
Amazonを起点に事業を拡大
Ankerグループの日本法人として2013年に設立されたアンカー・ジャパン。現在はモバイルバッテリーや充電ケーブル、PC周辺機器、ヘッドホンなどのオーディオ製品やロボット掃除機といったスマートホーム・家電まで、幅広いカテゴリーで製品展開を行っている。
設立当初のアンカー・ジャパンが取った戦略は、Amazonにリソースを集中させることだった。スタートアップ段階では自前の集客力がないため、既に人が集まっている場所で売るのが最も合理的、と同社の執行役員を務める芝原氏は述べた。
「私たちが最初にECモールの中で当時Amazonを選んだのは、物流システムやレビュー機能、そして製品であるガジェットとの親和性という理由があったからです。製品ごとにレビューを素早く取得できるため、寄せられたレビューの内容をもとに分析と改善を地道に続けました」(芝原氏)
ECモールの最大の利点は、メーカーがマーケティングとセールスに集中できる環境にある。優れた製品を投入し、集客力をレバレッジして実売を重ね、販売カテゴリー内でのランキングを上げる。そこでいただいた顧客の声を分析し、即座に製品の改善や開発へとつなげる。この正のスパイラルをいかに高速で回せるかが、マーケティングの要となる。
オンラインの実績をステップに、参入障壁の高いオフラインへ
Amazonを中心としたECモールで成功を収めた後、アンカー・ジャパンは販路の多角化を加速させた。2018年に100億円だった売り上げ規模は、2022年に350億円、そして2024年には約728億円へと飛躍的な成長を遂げている。この成長を支えたのが、オンラインで築いた実績を背景にしたオフラインチャネルへの進出だ。

「オンラインはクイックに立ち上げられますが、競合他社にとっても参入障壁が低いチャネルです。そのため、手間はかかるが競合が参入しにくいオフラインを開拓し、中長期的にビジネスを安定させる必要があると考えていました」(芝原氏)。
家電量販店や携帯キャリアのショップ、コンビニエンスストアといったリアル店舗での展開を始めたことで、売り上げの拡大だけではなく「Anker製品をどこでも買える」という利便性と「あの店にも置いてあるブランドだから安心」という信頼感や認知を確固たるものにした。
さらに、家電量販店に加えて直営店「Anker Store」でも展開を行う。直営店では、体験価値の創出に重きを置いていると芝原氏。オンラインでの売り上げ実績があるからこそ、次なるビジネス展開としてオフラインへの投資が可能になる。現在ではBtoBやBtoG(官公庁向け)など、オンラインの実績をフックにより多角的な事業展開を実現させている。
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吉永 翠(編集部)(ヨシナガ ミドリ)
大学院卒業後、新卒で翔泳社に入社しMarkeZine編集部に所属。学生時代はスポーツマーケティングの研究をしていました。
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