LTV最大化に向けた、自社ECリニューアルの裏側
2024年に実施したAnker Japan 公式サイトの大規模リニューアルも、大きなトピックの一つだ。このリニューアルは、アンカー・ジャパンのD2Cの強化のための一手であり、自社チャネルならではのブランド体験強化に向けた仕組み作りとして進められた。それまではコーポレートサイトとオンラインストアが混在していたが、これらを分離。新たなAnker Japan 公式オンラインストアでは、利用しやすさ、買いやすさを追求した。

リニューアルにあたり、会員プログラムも刷新した。以前のポイント制では、多くのポイントが使われずに失効していた課題があった。そこで導入されたのが、貯めるほど割引率が高くなる「マイル制度」と、有料会員サービス「Anker マイレージプログラム プライムパス」となる。
芝原氏は「ポイントを貯める楽しさを維持しつつ、アクティブに活用してもらう仕組みが必要だと考えました。また、購入以外のロイヤルティに紐づく行動にもリワードを提供したい意図もあり、思い切ってマイル制度に切り替えました」と振り返った。
リニューアルの成果もしっかり表れている。送料無料や下取りサポートといった「公式サイトで買う理由」を明確にでき、プライムパスの会員数は右肩上がりで増加し、リピート率も向上した。また、会員向けに直営店のプレオープン招待といった体験提供も実施し、好評を博している。アンカー・ジャパンでは、D2Cにおいて大切なのは短期的な売り上げよりも、中長期的に顧客との関係を構築することだと捉えている。
一方で、ライトユーザーにとってマイル制度がやや複雑に見える課題も生じており、今後はより直感的に価値が伝わるUIやサービス設計面の改善、アクティベーション施策などに注力していく方針だ。
信頼獲得、購入後の体験向上、接点拡大で選ばれるブランドへ
Ankerグループではカスタマーレビューを極めて重視しており、Amazonでの星4.5以上を一つのベンチマークとしている。AIを導入して膨大な顧客の声を効率的に分析し、開発と連携した製品改善だけでなく、Webサイトの訴求内容の修正などにも即座に反映させている。顧客の声を次の製品に活かし続けることで、「Ankerだから安心」という信頼を積みあげている。
そしてガジェット類という製品特性上、購入後の使用体験も長期にわたるものが多い。アンカー・ジャパンでは修理対応や下取りキャンペーンなどのカスタマーサポートを拡充しながら、D2Cならではのブランド体験を構築している。芝原氏は「製品を出して終わりではなく、出してからが本当の始まり。購入後にどういう体験をしてもらうかが、ロイヤルティ向上のために非常に重要」と語った。
セッションの最後には、多様に広がる顧客接点が紹介された。汐留にオープンした、充電しながらコーヒーを楽しめる「Anker Store & Cafe」や、ビジネスホテル・牛丼チェーン店・タクシーでの充電機器の設置など、日常の至る所に「Ankerのある場」を増やし、困ったときに助けてくれるパートナーとしての認知を積み重ねている。

「私たちは『Empowering Smarter Lives』をミッションに、お客様のスマートな生活を後押しする製品を展開しています。お客様が『よかったな』と感じる体験の積み重ねが、様々なブランドの選択肢がある中で、選ばれることにつながります。そして、マーケティングの中核にあるのはプロダクトそのものですから、製品改善にも引き続き注力してまいります」(芝原氏)
