老化のパラダイムシフトと計画比4倍の好発進
超高齢社会を迎えた日本において、「健康寿命の延伸」は国家レベルの課題であると同時に、巨大なビジネスチャンスを秘めた市場でもある。そうした中、ファンケルは「加齢による負の解消」というパーパスを起点に、エイジングケア市場における新たなゲームチェンジを図っている。2026年5月19日に開催された「FANCL『老化への挑戦』事業戦略&新CM発表会」において、同社代表取締役社長執行役員の三橋英記氏は、社会に根づいた「もう歳だから」という諦めや固定概念から人々を解放し、自分らしく健やかに年を重ねる「ウェルエイジング」の実現を力強く宣言した。
その戦略の核となるのが、長年の老化研究の末にたどり着いた世界初(※)のエビデンスを持つ機能性表示食品「ウェルエイジ プレミアム」である。
※老化細胞(分裂が停止し、体内に蓄積する細胞)に着目してキンミズヒキの研究を行い論文報告された(PubMedおよび医中誌Webの掲載情報に基づく)
本製品は発売直後から市場の大きな反響を呼び、発売後1ヵ月で計画の約4倍の売り上げを記録。一時は販売停止になるほどのロケットスタートを切った。この異例のヒットは、単なる新製品の成功という枠を超え、生活者の「年齢対策」に対する潜在的なニーズの深さと、市場の巨大なポテンシャルを浮き彫りにしている。
三橋氏は発表会の冒頭で「加齢は止められませんが、科学の力で立ち向かえば、老化への向き合い方は必ず変えていくことができます。ファンケルが目指すのは『老化のパラダイムシフト』です」と自社の使命を語っている。この言葉が示すとおり、同社の狙いは一過性のトレンドに乗ることではなく、社会全体の老化への向き合い方を根底から変える新市場の創出にある。
3万人のデータから見えた「内側ケア」の潜在需要
ファンケルがいかにして細胞レベルの「内側ケア」というアプローチに至ったのか。その背景には、データに基づく精緻な顧客インサイトの把握がある。同社が2035年に向けたビジョンの実装フェーズとして先行して開始した皮膚解析サービス「ファンケル スキンパッチ」は、既に3万人を超える顧客に体験されている。この膨大なデータから見えてきたのは、顧客が自覚している現在の肌の悩みと、客観的な将来の肌リスクとの間に存在する大きな「ギャップ」だった。
三橋氏はこの事実について、「お客様ご自身もまだ気づいていない本当の状態を可視化し、お悩みの解決に役立つご提案ができることに、我々も確かな手応えを感じております」と述べている。顧客は、自らの身体で起きている事実を正確に把握していない。だからこそ、可視化技術を用いてそのリスクや状態を客観的に示すことが、新たなケアへの強力な動機付けとなる。
また、発表会に登壇した健康医療ジャーナリストの西沢邦浩氏の解説によれば、実は30代に最初の老化の山があり、若くして体内の老化が進んでいる人は見た目も比例して老化していることがわかってきているという。
つまり、外側(肌)の衰えは、内側(細胞)の衰えと密接に連動している。ファンケルは、化粧品という外側からのアプローチで培った顧客接点と可視化技術を基盤に、「内側からの根本ケア」というインサイトを的確に捉え、サプリメント事業へと昇華させている。
