改めて「リテールメディア」とは?
セッションではまず、「リテールメディアをどのように捉えるか」について、各社の見解が明かされた。リテールメディアは一般に、小売が保有する購買データや店頭のデジタル接点を活用した広告・販促の仕組みを指す言葉とされている。
ただし、その定義は企業によって異なり、どこまでをリテールメディアと呼ぶのかはまだ統一されていないのが実情だ。カバヤ食品の竹見氏は、リテールメディアの整理はまさに進行中だと明かした。
「弊社では最初から細かく分類するのではなく、リテールが関わるものはすべてリテールメディアと考えることにしました。クーポンもチラシもそうですし、ID配信やサイネージも含めて、まずは全部リテールメディアとして扱っています」(竹見氏)
このように捉える場合、リテールメディアに含まれる施策は多岐にわたるため、施策の種類ごとに担当部署が分かれてしまう企業も多い。カバヤ食品も例外ではないが、各施策をどの部署が担当し、どのようなKPIで取り組み、どのような成果が出たのかをデータとして蓄積しながら、最適な在り方を探っているという。
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一方、アンファーでは、メディア全体の役割を整理した上でリテールメディアを位置づけている。
「顧客は認知して、興味を持って、最後に購入するという流れがあります。その中でリテールメディアは、購入の直前で『最後のひと押し』ができるメディアだと考えています」(吉川氏)
また吉川氏は、メーカーの視点から見たリテールメディアの利点として、(1)メーカー単独では取得しにくい購買データを使うことでターゲティングの精度を高められる点、(2)施策の後に効果測定ができるため、PDCAを回しやすい点、(3)購入に近いところで即効性のある施策が打てる点を挙げた。
アンファーでは広告配信を検証・最適化
次に議論は、リテールメディアの具体的な活用事例へと移った。アンファーでは、店舗限定シャンプーブランド「スカルプD ヘアルート」シリーズのプロモーションにおいて、大きく2つの取り組みを実施した。
1つ目が、購買データを活用した広告配信とクリエイティブ検証である。具体的には、複数の広告クリエイティブを制作し、どの訴求が最も効果的かをテストした。その結果、クリック率には差が生じており、今後の訴求内容に反映できる示唆が得られた。
「今回の事例では、当初は店舗限定商品である点が、強い訴求ポイントになると考えていました。しかし実際にお客様の反応を分析すると、お客様が見ていたのは、“自分の悩みを解決してくれるのか”というベネフィットでした。私たちのブランドはコンプレックス領域の商品が多いのですが、検証の結果、その領域での訴求に対して反応が集まるということが改めて確認できました」(吉川氏)
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その他、配信アカウントによる結果の違いや、想定していたターゲット層とは異なる顧客が購入しているケースも確認できたという。
この事例のように、リテールメディアは、販促手段にとどまらず、マーケティングのインサイトを得る手段としても活用されている。その際に重要なのは、テストを単なる検証で終わらせないことだ。
「当たりのクリエイティブを見つけたら、そこから“何が響いているのか”という訴求の本質を抽出し、それを横展開することが重要だと考えています」(吉川氏)
