BtoBマーケティングリサーチの基礎を学ぶ!
─ BtoBマーケティングのリサーチはBtoCと何が違う?ハマりやすい2つの落とし穴
─ 「成果を出しても評価されない」のはなぜ?リサーチ調査から見る経営層とマーケ現場のギャップ(本記事)
「成果を出しているのに、評価されない」の正体
BtoBマーケティングの現場で担当者がKPIを達成しても、経営層からは「それで売上はどうなったのか?」と問い返されてしまう。よく耳にする話です。このすれ違いは、感情論や個人差の問題ではなく組織の構造的な課題として捉えることが、解決への第一歩です。
マクロミルが実施した調査では、マーケティング施策への関与度をもとに、回答者を「実務者」「計画立案者」「意思決定者」の3層に分類しました。なお、BtoBマーケティングは専任部署がないケースも多いため、経営企画や営業企画など、マーケティング機能を担っている部門の担当者も含めて回答を得ています。
最初に「今年度のマーケティング予算の総額が前年度と比較してどう変化したか」を尋ね、上述した3層に分けて回答を分析したところ、意思決定者の58%が「今年度の予算を増やせた」と回答した一方、実務者では38%にとどまりました。逆に「予算が横ばい」は、実務者47%に対して意思決定者32%と逆転し、現場層ほど予算拡大の壁を感じていることが表れたのです(図1)。
本来、予算の増減は組織内の客観的事実のはずですが、そこに20ポイントもの乖離があるのは、経営層が見る「投資総額」と現場が感じる「施策予算」の間に、大きな分断があることを示唆しています。
本稿では、「経営層と現場のギャップ」の実態と、その背景にある構造を読み解いていきます。
経営層と現場の間にある2つの壁
認識の壁:経営層は売上しか見ていないという誤解
現場のマーケターが抱きがちな「経営層は売上しか見ていない」という印象は、データでは否定されます。
追っているKPIを比較すると、「認知度」「リード獲得数」「CPA/ROI」の全項目で意思決定者層は実務者を10〜13ポイント上回りました(図2)。つまり、意思決定者ほど多くの指標を視野に入れているのです。
次に「最も重視している」KPIについて尋ねたところ、「売上」を重視する割合は、意思決定者(25%)よりも実務者・計画立案者(32〜34%)のほうが高く、上位層ほど売上一本槍ではなく、認知から受注に至るファネル全体を俯瞰している実態が浮かびました(図3)。
目的の壁:部門ごとに異なる“マーケへの期待値”
現場が思う以上に、意思決定者(経営層)はプロセスを注視していることがわかりました。では、経営層がマーケティング組織に期待していることは何なのでしょうか。その期待の捉え方には部門間でギャップがあります。マーケティング部門のほか、経営企画、営業企画など、マーケティング機能を分担している各部門で認識に大きな開きが存在したのです。
経営層から期待されていることとして、「受注・売上への貢献」については部門間での大きな差は見られなかったものの、「ブランド認知向上」は経営企画が35%で、マーケ部門の25%を上回り、「営業武器作り」は営業企画が18%で、他部門の2倍以上でした(図4)。
このように、「経営層から求められていること」の理解はマーケターが所属する部門ごとに分断されていることが、経営と現場のコミュニケーションを阻害し、「成果を出しても評価されない」という事態を生む一因となっていると考えられます。
