BtoBリサーチの成否は「誰に聞くか」で決まる
近年、BtoC市場の成熟や競争激化、人口減少を背景に、新たな成長余地を求めて法人向け部門を強化する企業が増加しています。BtoB企業においても、マーケティングの注力に向け、予算を拡大する傾向にあります。
このようにBtoBマーケティングの重要度が高まる中、データに基づいた顧客理解や施策判断を下すことは今や不可欠です。BtoBマーケティングリサーチ(以下、BtoBリサーチ)を土台に、データに基づいて進むべき道を定める力はこれまで以上に求められています。
一方で、「法人顧客をもっと理解したいが、調査方法がわからない」「既存顧客との接点から得た経験頼みで、施策に確信が持てない」という声も多く聞かれます。
BtoBリサーチはBtoCの延長線上で考えるとうまくいきません。
両者における最大の違いは、対象が「個人」ではなく「企業」であることです。実務担当者、導入責任者、決裁者、情報システム部門、経営層など、複数の関係者がそれぞれ異なる評価軸を持ちながら購買の検討プロセスに関わります。さらに、業界特有の商習慣や企業ごとの稟議プロセスも存在するでしょう。
そのため、BtoBリサーチでは「誰に聞くか」が調査の質そのものを左右します。顧客の合意形成に必要な相手の声を捉えられなければ、結果として判断を誤ったり、せっかく得た調査結果が施策や社内合意形成に活かされなかったりします。
つまり、複雑な組織内の決定構造に対して、業種・職種・役職まで把握できるビジネスパネルを活用し、必要な立場の声を捉えるための対象設定と設計が必要なのです。
BtoBリサーチ「2つの落とし穴」
n数が足りないから意味がない?
では、BtoBリサーチの落とし穴はどこにあるのでしょうか。最も多いものが、アンケートなどの定量調査において、「十分な回答数(n数)が集まらないと意味がない」という思い込みです。
そのためリサーチという選択肢を手放してしまうケースもあります。もちろん定量調査に一定の回答数は必要ですが、BtoBリサーチにおいては、量だけでなく、対象者の質や立場の切り分けの方が重要になる場面も少なくありません。
窓口担当=顧客=市場の声という思い込み
もう一つは、日々接している顧客側の担当者の声を、そのまま市場全体の声と捉えてしまうことです。BtoBでは、前述の通り関係者が複数存在することから、営業が向き合う担当者と最終的に判断する決裁者が異なるケースが多々あります。
結果、現場起点で組み立てた施策が経営層や決裁者の評価軸と噛み合わず、予算投下や実行段階で止まってしまうことがあります。BtoB特有の難しさは、顧客理解が難しいこと以上に、「顧客を理解しているつもり」で進んでしまうことにあります。その思い込みを解消し、経営層と現場のギャップを埋めるための手段がリサーチなのです。
