社員の7割が常時利用。Hakuhodo DY ONE流・AI活用
──社内用AIツールとして、自社開発の「HAKUNEO ONE」と、Notion AI、Difyを利用しているとうかがいました。それぞれ、どのように使い分けているのでしょうか?
宮田:「HAKUNEO ONE(ハクネオ ワン)」は、当社クラウド上に構築した社内向けのAI利用環境です。最大の特徴は、GPTやClaude、Geminiといった主要なLLMや画像生成モデルを、社内の様々な業務シーンで安心・安全に利用できる点にあります。そのため用途も幅広く、テキストやコードの生成から、データ分析の壁打ちまで全社横断で多岐にわたっています。また、2023年10月の社内リリース以降、現在の累積ユニークユーザー(以下、UU)は3,000名を超えており、社員の約7割が常時利用する規模に定着しました。
宮田:また、より幅広いAI活用ニーズに対応できるよう、Notion AIやDifyといったツールも活用しています。Notion AIは、議事録を中心としたドキュメント管理に利用されることが多いです。そしてDifyは、現場社員が個別業務に特化したAIアプリを自作するためのプラットフォームという位置づけです。
さらに最近では、HAKUNEO ONE上からMCP連携でDifyアプリを直接呼び出せるようになりました。これにより、情報収集から資料生成までを一貫して完結できるワークフローも実現しています。このように、HAKUNEO ONEをハブに据えつつ、目的に応じてツールを使い分けるのが当社の基本スタイルです。
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Difyで開発した社内アプリの使いっぷり
──Difyの活用事例を教えてください。実際に、どのような「専用ツール」が生まれているのでしょうか。
宮田:社内で作成されたDifyアプリは1,000個を超えており、現在社内公開しているアプリも約70個あります。毎月300〜400名の社員が利用しており、さらにアプリを自作できる権限を持つ社員は700名に上ります。「使う人」だけでなく「作る人」が社内に育っているのが特徴です。
最も人気が高いアプリは、スライドの構成テキストを入力すると自社テンプレートに沿ったPowerPointを自動生成するアプリです。他にも、商品やサービスの情報からカスタマージャーニーや施策を複数自動提案する「0次AI仮説」、テキストを音声コンテンツ化するアプリ、社内ナレッジをAIに読み込ませて有識者代わりに質問できるRAGアプリなど、現場発の工夫が次々と生まれています。
──お話から、社内のAI活用が非常にスムーズに進んでいる印象を受けました。ここまで社内浸透が進むまでに、苦労された点はありますか?
宮田:実を言うと、導入当初は「感度の高い一部の人にしか広まらない」という状況でした。開発部門は環境構築で手一杯、現場はクライアントワークに追われていますから、いくらSlackでアナウンスしても情報の波に埋もれ、「知っている人だけが使う」状態が続いていたのです。そこで転機になったのが、2024年5月から2025年3月にかけて実施した「AIアンバサダー研修」です。

