避けるべきは「とりあえず商品紹介」
SNS運用担当者の頭を悩ませるのが「何を投稿したら良いのかわからない」「ネタ(企画)がない」という問題だ。そこで「とりあえず商品告知をしておこう」と、目的なく商品のことだけをつぶやいて急場をしのぐ。これはSNS担当者の“あるある”かもしれない。
これに警鐘を鳴らすのは、大王製紙でエリエールのファン育成をリードする小林豊氏だ。
同社も当初は炎上などを避けたい気持ちや、企業アカウントだから商品告知さえしておけば大丈夫という考えから、SNSでは企業側が伝えたい商品説明の投稿ばかりしていたという。
「結果、せっかく多くのフォロワーがいたにも関わらず、何の反応も得られなかったばかりか、リーチ数が右肩下がりに落ちていきました」(小林氏)
多岐にわたる業界・業種の企業公式アカウント運用を支援してきたNAVICUSの富田明日菜氏も「この現象は同社に限った話ではない」と指摘する。
では、そんな「無難な商品告知」投稿から脱却するにはどうすれば良いのか?大王製紙は、NAVICUSの協力を得て、500件超にわたる過去の全投稿を洗い直し、状況打破のヒントを見出すことからスタートした。
生活者のWantと企業のMustを掛け合わせる
分析の結果、単なる商品情報の告知ではなく、日常の困りごとを解決する「ライフハック軸を起点とした投稿」であれば受け入れてもらいやすいことが見えてきた。
「生活者にとって有益な情報を提供して“役立つSNSアカウント”として信頼を得つつ、同時にエリエールブランドを生活者の記憶に残し、想起されやすい状況を作ることが、SNS運用の大事な軸になると考えました」(富田氏)
ポイントは、生活者が求めている「Want」を満たしつつ、企業の「Must」である商品情報の提供を両軸で運用していくことだ。Want一筋で投稿を作るのではなく、併せて企業目線での情報発信も進めていく。
「商品を主役にするのではなく、ユーザーが抱えている生活の課題に寄り添いながら、投稿の中で自然に商品紹介が紛れ込む投稿を作っていく方向性が定まりました」(富田氏)
この方針により、エリエールのアカウントでは現在、ライフハック企画と純粋な商品紹介を1:1の割合で投稿している。

まず、ありたい姿を定めることが重要
そもそも、何のためにSNSを展開しているのか。この問いについて、小林氏はエリエールのファンづくり全体設計の図を示して次のように説明する。

「当社の最終的なゴールは『購買』、ないしは『ファン化』です。ゴール地点までの道のりとして、会員組織である『クラブエリエール』からスタートし、ブランドサイト、SNS、広報・PRが提供する情報があります」(小林氏)
ゴール=購買といっても、SNSが直接購買を誘発するわけではない。SNSの運用によって目指しているのは、「なんとなく」「特売していたから」ではなく、品質とブランドを信頼し「エリエールだから使っていきたい」と思うファンを増やすことだ。
この目的が明確になると、SNSアカウントの運用方針が決まってくる。「高い品質の商品で日々の困りごとを解決し、信頼されるブランドのアカウント」という旗印が立ち、具体的な投稿の施策が立てやすくなる。
富田氏も、「自分たちのブランドは、SNSアカウントはどのような姿を目指していきたいのかを整理することが、SNS運用において大切です」と補足する。

