AI検索の影響は?サイトのトラフィックは減少しているが……
セッションの冒頭では、モデレーターの才流 栗原氏が「最近の自社のSEOトラフィックはどうか」と会場に質問。すると聴講者の多くが「下がった」に挙手した。従来の戦略が徐々に効かなくなっているように思われるが、SEOに注力しているアドビとfreeeはそれぞれ現状をどう捉えているのか。
まず、アドビでソリューションコンサルティング ディレクターを務める鵜瀬氏は、「多くの日本企業が、トラフィックの低下に対して具体的に投資しているというより『どうすべきか』と策に悩むフェーズ」と現状について指摘した。
一方で、アドビでは確かにサイトのトラフィックは減っているが、AI検索からの流入は増加している。また、AI検索からはエンゲージメントの高いユーザーが流入するためコンバージョン(CV)率も高い。自社ツールなどを使って改善した結果、SEOの成果は現状プラスになっているという。
freeeのVP of Marketing 三浦氏は、AIがSEOに与える影響を紐解いた。
「トラフィックは当然打撃を受けます。とはいえ、全体のキーワードの中でもCVに貢献するものとトラフィックに貢献するもの、そして対象セグメントごとの流入に分けて考えると、それぞれ影響は異なります」(三浦氏)
実際にfreeeで影響を受けているのは、従来トラフィックに貢献していたコンテンツだ。マスのユーザー層の検索からの流入数が減ったといえるが、これはもともとCV貢献が大きくなかったコンテンツであり、売上をはじめとするアウトカムにはあまり影響がないという。
というのも、顧客は営業やインサイドセールスと接点を持った後に、自身でAI検索をかけて製品やサービスの内容を確認する。ここでエンゲージメントが発生し、その後の受注率向上につながっているのだ。
AI対応に関連して、栗原氏が人的投資の部分でアロケーションを変更したかを尋ねると、三浦氏は「大胆な人材配置が重要」と述べた。わかりやすいアロケーション例でいえば、SEO担当者をLLMO(大規模言語モデル最適化)やAIO(AI検索最適化)に目的単位で動かすことはマストで必要となる。
そのうえでもっと重要な点が、トレンドが大きく変化するときに、どれだけ“マッドネス”になれるか。たとえば10人のSEOメンバーのうち3人をAIOに動かすのではなく、10人全員をAIOに配置したり、さらにAIOのための人材を追加で採用したりといった、大胆なアロケーションがカギになる。トレンドが大きく変化するときは、ゲームのルールも変わるとき。新しいルールの勝者になれるタイミングで大きなリソースアロケーションをすることが重要と、三浦氏は語った。
多様化する情報収集行動、複雑化するSEO
またfreeeの顧客層であるSMB企業層は、様々な量的調査を見ても、そもそもWeb検索で業務改善に必要な情報を収集する割合さえ、全体で見ると半数程度。AIで情報収集や検討を行う人も実際はまだまだ少なく、特に地方ではChatGPTの認知度も低い状態だという。そういった環境では、オフライン営業やパートナー・代理店経由で適切に顧客に情報を届けることも重要だ。改めてセールスや代理店に投資する時代になっていく、と三浦氏は展望した。
これはAI時代のトレンドに逆行するようで、実は本質的な投資だ。栗原氏も、「どの程度の顧客がAIを活用しているのか、調査を行い把握しておく必要がある」と補足した。
鵜瀬氏は、アドビでは現状はSEO担当者が兼業でLLMO・AIOの業務も行っていると説明。特にAI時代は、「Wikipedia」「Yahoo!知恵袋」のようなサードパーティのメディアまで管理する必要があることを指摘し、複雑なオペレーションが必要になるとした。
従来のSEOでは、オウンドメディアの運営や自社で選定したキーワードに注力すればよかったものの、AI時代ではカバーすべきチャネルや検索ワードが社外にまで広がり、その対応が求められているのだ。
