AIと人による共創目指す「STRATEGY BLOOM CONCEPT」
生成AIの活用がこれまでにないほど浸透してきた今、企業活動においてもこの新技術をいかに事業に取り入れるかが喫緊の課題となっている。そうした中、博報堂DYグループは2024年4月に「Human-Centered AI Institute」を設立。人間中心のAI技術研究、およびソリューション開発に取り組んできた。
博報堂テクノロジーズの執行役員である木下陽介氏は、同社が毎年行っている生成AIに関する調査について次のように話す。
「われわれの調査結果によれば現在、生成AIのビジネス利用は47.5%に過ぎません。また、AI活用に対する認識の大半は『自動化できる部分はAIに任せ、クリエイティブな作業は人間がおこなう』といったもの。けれども、われわれはその部分をいかにAIと協力して実現させるかが重要だと考えています」(木下氏)
木下氏によると、ビジネス目的でAIを利用する中で浮かび上がってきたのが、「同質化」の問題だという。これは、AIのアウトプットの精度が高まった結果、誰もが同じ答えにたどり着いてしまう現象を指す。だが、同氏はマーケティングの本質が生活者に”意味のある違い”を生むことにある以上、そこを克服する必要があるという。
それでは、AIと人が共創し、クリエイティビティを発揮するにはどうすればいいのか。こうした発想の下、同社が開発したのが「STRATEGY BLOOM CONCEPT」だ。同プロダクトについて、木下氏は次のように解説する。
「これは、TBWA\HAKUHODOの細田高広CCOが提唱する、『インサイト型ストーリー』というコンセプトワークをAIに学習させ、サービスとして具現化したものです。プロンプト不要で、各ステップに最適化されたAIとの壁打ちが可能になります」(木下氏)
木下氏によれば、同プロダクトの活用により、プランナーがコンセプト立案にかかっていた時間が約4,000時間も削減されたのだという。また、これまでコンセプト立案をあまりしてこなかった営業職が利用することで、コンセプトスキルの向上にも役立っているという。

JTがテクノロジーに投資する理由とは
一方、日本たばこ産業(JT)では、経営アジェンダの一つとして「グループテクノロジー戦略」を策定、 ITグループ独自のテクノロジーに関するブランディングを重要戦略の一つと定義づけている。その理由について、同社のChief Technology & Information Security Officerである下林 央氏は次のように解説する。
「当社では、持続的利益成長に向けて長期的視野に基づいた運営をおこなっています。われわれJTグループがパーパスとして掲げるのは、『心の豊かさ』。その実現のため、テクノロジー部門として我々自身が価値を創出する『Tech Frontier Company』になろうとしているのです」(下林氏)
同社が「新たな事業シーズの探索と創出」というプロセスを経て生み出したプロダクトは、非常にユニークなものだ。その実例として、まるで呼吸するかのように動作するクッション「fufuly」や、深呼吸をサポートするフレーバー吸入タイプの電子デバイス「ston」などが挙げられる。くわえて、生成AIの活用や社内承認手続きなども大半が電子化されデジタル活用においては先進的な取り組みが行われている。
しかし、JTがこれらの取り組みをしていることを知っていた読者の方はどれくらいいただろうか? 同社の課題は、そのテクノロジー活用の推進に対する「認知」である。下林氏によれば、先進的な取り組みを行う内部の実態と「外からの見え方」には大きな隔たりがあるという。

また、今後テクノロジー活用を加速させるためにも、社員一人ひとりの意識改革が必要なタイミングにあった。そうした内容をストーリーとしてわかりやすく伝えるべく、今回の「AIを活用したブランド構築プロジェクト」が始まったのだと下林氏は述べる。

