SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Online

注目マーケティングトピックス2026

“ギルティ消費”のニーズをいかに見出したか? サントリー「NOPE」誕生秘話

 約14年ぶりに大型飲料ブランド「ギルティ炭酸 NOPE(ノープ)」をローンチしたサントリー食品インターナショナル。攻めたコンセプトや想像を掻き立てる味がSNSで様々な反応を呼び、力の入ったプロモーションにも注目が集まっています。MarkeZineでは、NOPEのブランドマネージャーを取材。炭酸飲料カテゴリーの市況と課題を踏まえ、“ギルティ消費”のニーズを発掘するに至ったプロセス、広告コミュニケーションで工夫したポイント、発売から約1ヵ月(取材時点)が経った売れ行きなどをうかがいました。

主要ブランドの固定化が続く炭酸飲料市場

──まずは大槻さんのこれまでのキャリアと、現在のご担当業務について教えてください。

 私は入社以来、サントリーで酒類のマーケティングに6年ほど従事していました。焼酎や梅酒、輸入酒など複数のブランドに携わった後、飲料部門へ異動し、缶コーヒーの「BOSS」や「クラフトボス」を担当しました。炭酸飲料カテゴリーの開発担当になったのは2025年の春からです。現在は、新炭酸飲料ブランド「NOPE(ノープ)」のブランドマネージャーを務めています。

サントリー食品インターナショナル SBFジャパン ブランドマーケティング本部 大槻 拓海氏
サントリー食品インターナショナル SBFジャパン ブランドマーケティング本部 大槻 拓海氏

──炭酸飲料カテゴリーの市場環境について説明いただけますか?

 炭酸飲料市場はロングセラー商品が非常に強い、いわゆる“成熟市場”です。新ブランドの成功例は、2012年発売の「オランジーナ」まで遡る必要があるほど顔ぶれが固定化しています。そのため、昔から炭酸飲料を愛飲している人は変わらず飲み続けている一方で、20代や30代といった若い世代が新しく入ってきづらい状況が続いていました。

 そうした環境の中で、既存の炭酸飲料ブランドの延長線上の提案をしても若い世代を振り向かせることは難しい。だからこそ、今あるブランドの資産に頼らない新ブランドを0から開発し、話題性という最初の取っ掛かりを生み出す必要があると判断しました。

若手社員との会話がギルティニーズ把握のきっかけに

──「ギルティ(罪悪感)」というキーワードには、どのようなプロセスを経て辿り着いたのですか?

 まずは対象となる若年層の生活を調査することから始めました。炭酸飲料の飲用シーンを深掘りすると、20代・30代は他の世代と比べて「ストレスを解消したいときに飲む」という回答が非常に多かったんです。SNSの普及などを背景に、若い世代も深刻なストレスを抱えていることが見えてきました。

 調査を進めるうち、今の若者は一人で過ごすことを好み、ストレス解消にも「非日常的な刺激を受けて発散する」より「一人でだらだらしながらストレスを溶かす」という方向を求めているのではないかと感じました。

 決定打となったのは、同じチームに所属する2年目の若手社員とのディスカッションです。彼女が「土日のどちらかは自宅のベッドの上でカップ麺を食べながら、動画ストリーミングサービスで映像を見て、誰にも会わずに過ごす。それがストレス解消になる」と話してくれました。

 その感覚が個人的なものなのか、それとも一般的なものなのかを探るために追加調査を行ったところ「一人でギルティなものを楽しみながらだらだらする」というニーズに手応えを感じました。隣のフード市場では既にギルティフードが活況でしたから、これを飲料に持ち込めば、ストレスをだらだらと溶かしていく世界観が炭酸飲料で作れると考えたんです。

──健康志向という市場の大きな流れには逆行するコンセプトですが、社内の反応はいかがでしたか?

 大きな反対はありませんでしたが「本当にギルティで大丈夫か」という懸念はありました。ただ、ギルティフード市場は健康市場と同じかそれ以上に伸長している事実があります。加えて、調査で100人以上の方と対話した結果とともに「体の健康も大事だが、心の健康のためにストレスを溶かす時間も必要だ」というバランスの重要性を示すことで、社内の合意を形成していきました。

 炭酸飲料カテゴリーを盛り上げることは会社にポジティブな影響をもたらすはずですし、そのためには新しい“角”を取りにいかなければなりません。新商品というよりは「ギルティ炭酸」という新しいカテゴリーを創造するような取り組みでした。

次のページ
若者受けする味の着想源は「グミ」

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
注目マーケティングトピックス2026連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2026/05/20 07:00 https://markezine.jp/article/detail/50643

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング