9年ぶりの新ブランドを動かし、追求したチーム
米田:まずは、皆さんのご担当業務を教えてください。
松井:新ブランド開発部の松井茜人と申します。2022年の中途入社後、営業を2年半経験し、2025年4月から新ブランド開発部でアサヒゴールドのブランドマネージャーを担当しています。
藤澤:新顧客創造研究所プロダクトイノベーション部の藤澤さやかと申します。2021年入社で、ビール開発部での既存商品担当を経て、現部署で新商品の中味開発を担当しています。お客様の心を動かし、価値観を変えられるような商品を作ることをミッションにしています。
河野:消費者インサイト部の河野慧一と申します。お客様を真ん中に置いたマーケティングを推進するのが部のミッションで、アサヒゴールドの開発においては松井さんや藤澤さんと伴走し、マーケティングリサーチを手段としながら新商品の上市に携わっています。前職は食品メーカーでマーケティングや研究開発を経験し、2025年4月にアサヒビールに入社しました。
同マーケティング本部 新顧客創造研究所 プロダクトイノベーション部 主任 藤澤 さやか氏
同マーケティング本部 消費者インサイト部 課長 河野 慧一氏
米田:『アサヒゴールド』はどんな商品か教えてください。
松井:アサヒゴールドは、2026年4月14日に発売した麦芽100%のスタンダードビールで、このジャンルでは9年ぶりの新ブランドです。コクとキレのバランスにこだわった生ビールで、一口目から麦の旨味を感じつつ、すっきりとした後味で飲み進めていただけることが最大の特徴です。
「自分自身がN=1」開発者のインサイトが原点に
米田:藤澤さんはマーケティング本部R&Dの提案会でアサヒゴールドの元となる試作品を提案されていましたね。私はその日のことが忘れられないんですよ。
提案会は月1回、マーケティング本部長と、商品コンセプトを担う各カテゴリーの部長やメンバーに対して、研究所から新商品のシーズ(種)を提案する場ですが、当時どういう気持ちでどんな提案をされたか、改めてお話しいただけますか?
藤澤:商品開発においてはN=1を大事にしているのですが、アサヒゴールドの最初の発想は私個人の思いから始まっていました。そのため、提案会に出したのは私自身がN=1となるベース案です。
私がビールを飲みたいとき、特に家ではビールならではの麦の旨味や味わいを求めていました。一方で既存のビールは香りや苦味が強かったり、味感が重たすぎたりして、日常になかなか定着するものがなかったんです。
そこで、麦の味わいがありながらも毎日飲めるようなビールを提案しました。
米田:一般的に「麦芽100%」は重くなりがちなんですよね?
藤澤:そうです。麦芽は栄養が豊富で味が重たくなってしまいがちで、プレミアム訴求として売り出すことが多い傾向にありました。
ただ、私が求めていたのは「もう少し飲みやすさのある麦芽100%」です。飲みやすさの定義は後から調査で見つけた部分が大きかったのですが、これがゆくゆく「コクとキレの黄金比」につながっていきました。

米田:藤澤さんはN=1を大事にする開発者ですね。自分が欲しいものを言語化でき、何が納得いかないかをちゃんと言葉にできる。また、複数人にアイデアを伝えて客観的な評価を確かめることもしています。
提案会でも「これ美味しいな」とみんなが試作品に唸ったわけですが、そこでただ飲ませるだけでなく、なぜ美味しいのかを聞いていって言語化していかれました。このように、自分の感覚を起点に広げて一般化できるのは、売れるものを作る秘訣の一つですね。
