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MarkeZine Day 2026 Spring

インサイト活用のプロ・米田氏と紐解く、実践的インサイト活用法

納得できるWhoとWhatの鍵は「まとめない」こと。サンスター「SODATECO」のN1調査実践例

 ブランディングの見直しのために実施したという「イマージョン」方式の調査。実践から学んだそのコツとは――? 元P&Gで数々のインサイト活用を行ってきた米田恵美子氏による本連載。今回は、オーラルケアメーカーとして知られているサンスターが展開する子ども向けブランド「SODATECO(ソダテコ)」のN1調査イマージョンプロジェクトを紹介する。同ブランドはオーラルケア商品の拡充を機に、ターゲットとインサイトの再整理に着手。米田氏の伴走のもと、表面的な志向性の裏に潜む、「お母さん」たちの切実な動機を掘り起こし、ブランドパーパスの刷新や商品開発へとつなげていった。

サンスター「SODATECO」が生まれた理由

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インサイト・ピークス 代表取締役社長 米田 恵美子(よねだ・えみこ)氏

米田:まず、お二人の自己紹介をお願いします。

菅:菅良夫と申します。サンスターには研究職として入社し、その後マーケティング部門として商品開発、ブランドマネジメントに携わってきました。現在は「SODATECO」を担当しています。

油川:油川愛佳です。私はキャリア採用でサンスターに入社しました。健康食品のマーケティングなどを経て、現在は主に「SODATECO」のコミュニケーション領域を担当しています。

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(写真左)サンスター マーケティング戦略部 ブランドマネージメントグループ SODATECO 菅 良夫(すが・よしお)氏
(写真右)同マーケティング戦略部 コミュニケーション企画グループ 油川 愛佳(あぶらかわ・あいか)氏

米田:SODATECO」はどんな考え方から生まれたブランドなのでしょうか。

菅:出発点にあるのは、「菌叢(きんそう)=フローラ」という概念です。人の体内には善玉菌・悪玉菌などの無数の菌が存在していて、それらが健康維持に非常に重要な役割を果たしています。腸内フローラは、大体3歳頃までにほぼ決まってしまい、大人になってもあまり変わらないことがわかっています。また口内も1歳7ヵ月~2歳7ヵ月頃はむし歯菌に感染しやすい時期です。つまり、幼少期のおなか・おくちのケア習慣が、その人生涯の健康の土台をつくっているとも言えるわけです。

 「SODATECO」はこの考えをベースに、フローラが形成される場所として特に重要なおくち・おはだ・おなかの3つのケアに着目し、2020年に生まれたブランドです。

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SODATECO」の商品ラインアップ ※2026年シリーズ

油川:ブランドの背景には、サンスターの創業の精神も深く関わっています。創業者が糖尿病により早世したことを受け、オーラルケア分野に留まらずに、全身の健康へ貢献するために食品を含めたヘルスケア事業へと活動の幅を広げています。

 それから受け継がれてきた「おくちの健康を増進することが全身の健康を増進することにつながる」という創業の想いを、子どもの時期から実践していこうというのが、「SODATECO」の根幹となる考えです。また、親だけでなく、社会全体で健康な子どもを育てていこうという意志が、このブランド名の「CO-(共同を意味する接頭辞)」にも込められています。

米田:今回、改めてブランドのターゲットやそのインサイトを見直すことになったのはなぜですか?

菅:「SODATECO」はもともとおくち・おはだ・おなかという3領域で2020年に発売しました。おくちに関して成長に伴い、年齢に適した商品ラインアップが必要であるため商品を拡充しました。

 それにあたり、「そもそもこのブランドは誰に向けて、何を届けようとしているのか」、つまりWhoとWhatを改めて明確にしたいと考えたんです。そこで今回、マーケティングリサーチの専門家である米田さんにご協力をいただき、インサイトの再整理に取り組んだというのが経緯です。

N1インタビューは事前準備が重要

米田:今回、WhoとWhatを研ぎ澄ませる調査や分析に伴走させていただきましたが、イマージョンという手法をご紹介しました。イマージョンは本来、じっくり行動観察をしてその行動の背景を詳しく聞いていくというプロセスをとるのですが、今回は、対象者の方ご自身にご自分の行動を振り返っていただき、その背景を説明していただく、というプロセスをとりました。今回体験していただいた中で、お二人の印象に残っているポイントについて、ご紹介をお願いします。

菅:いつも実施しているデプスインタビューとはまったく違うアプローチで、「インサイト発見には、こんなやり方があるんだ」と非常に衝撃的でした。

 まず大きく違ったのは、調査対象者の設定プロセスです。事前準備したコンセプトを読んでもらい、「ここが良いと思った」「ここに共感した」といったコメントを集める。そのコメントを読んで、「この人なら深く語ってくれそうだ」と思える方を選びました。今までのデプスインタビューでは、事前にコンセプトを見せるということはほぼなく、インタビュー時にはじめてコンセプトを見せてそれに対する反応を聞いていくのが通常でした。コンセプトを高く評価してくれる人だけを事前にスクリーニングしてインタビューにお呼びするというのは初めてでした。

米田:せっかく時間もお金もかけてインタビューを設定したのに、結局あまり多くを得られなかったという経験は多くの方がお持ちだと思います。コンセプトの需要を測るという目的ならば量的調査をするべきで、デプスという質的調査をする目的は、どんな人にどんなことが響くのか、もっとコンセプトを研ぎ澄ませるには、どんな人のために何を強化すべきか、を見つけていくことです。そのためには、もともとコンセプトに共感度が高く興味関心を持っていろいろお話しくださりそうな方にお話を聞くべきで、事前にそういう方を選ぶことをおすすめしています。

菅:もう一つ、対象者には「宿題」をお出しして、インタビュー当日に話していただきたいことをあらかじめ考えてきていただきました。たとえばお子さんの歯みがきについて、「実際にどんな風に何を使ってどんなことをされているのか」「気を付けていらっしゃることは何か」「どのようなお悩みがあるか」「お子さんがお生まれになってから現在に至るまで、どんな変化が生じたのか」など、細かく思い出しながらヒアリングシートに記載していただき、それからインタビューに来ていただきました。

 実際のインタビューでは、その宿題を見ながら対象者の方が自ら当時のご経験やお悩みを話してくださいました。こちらは間に問いを挟む程度で、「なぜそう思ったのか」「その背景は何か」と深掘りしていく役割だけでいろいろな情報を引き出すことができました。

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米田:よくあるのは、コンセプトを読み上げて「どう思いますか?」「5段階で評価してください」と聞いてしまうやり方です。それでは量的調査のアンケートのようになってしまい、もったいない。事前に考えてきてもらうと、「実は私の親がこういう人で……」といった、よりパーソナルな話まで引き出せます

菅:また、いつもならプロのモデレーターさんにインタビューをお願いするところ、今回は自分たちで直接インタビューをするということを、指導いただきながらやらせてもらいました。とてもいい経験になりましたが、インタビューするというのは、正直とても難しかったです。

米田:具体的にどんなところが難しかったですか。

菅:いかに相手に語ってもらうか。そして、語ってもらいながら、自分たちが知りたい本質に近づく問いをいかに入れていくか。後から振り返れば「あ、あそこでもっとこう聞けたな」と思えるんですが、その場で瞬時に質問を差し込んでいくのがなかなか大変でした。

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モデレーションの難しさとコツとは?

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/23 07:00 https://markezine.jp/article/detail/50473

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