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ミレニアル世代の新しい旅行観 「ウェルネス」意識の高まりとホテル業界へのインパクト

 ミレニアル世代は団塊の世代や親世代(X世代)とは異なる価値観をもっており、旅行においても独自の基準で移動手段や宿泊先を決めている。今回は、世界の大手ホテルによるミレニアル世代向けの取り組みから、ミレニアル世代の健康意識が親世代とどのように違っているのかをみていこう。

※本記事は、2018年4月25日刊行の定期誌『MarkeZine』28号に掲載したものです。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け拡大すると見られているインバウンド市場。日本政府観光局によると年間訪日外客数は2016年に前年比20%増の2,400万人、2017年も20%の伸びを見せ2,800万人以上となった。2020年までに4,000万人、さらに2030年までには6,000万人に膨らむという試算もある。

 このように急速な拡大が見込まれる国内インバウンド旅行市場だが、旅行市場はグローバルに見ても拡大が見込まれている。国連世界観光機関(UNWTO)によると、2016年の世界の旅行者数は12億3,500万人と前年同期比で3.9%増だった。このペースで伸びていくと2030年までには18億人に達するという。

 世界の旅行市場において最も注目されているのが1980~1990年代に生まれた「ミレニアル世代」と呼ばれる層だ。現在20~30代半ばとなるミレニアル世代は、仕事でもプライベートでも旅行する回数が多く、観光産業における多くの企業がミレニアル世代を取り込もうと様々な施策を試みている。

 ミレニアル世代は団塊の世代や親世代(X世代)とは異なる価値観をもっており、旅行においても独自の基準で移動手段や宿泊先を決めている。世界の大手ホテルはミレニアル世代の台頭と、その独自ニーズに敏感に反応し、ミレニアル世代を意識した新たな取り組みを始めている。

 今回は、世界の大手ホテルによるミレニアル世代向けの取り組みを紹介するとともに、ミレニアル世代の健康意識が親世代とどのように違っているのかみていきたい。

キーワードは「フィットネス」と「ウェルネス」

 ウェスティン、インターコンチネンタル、ハイアットなど世界の名だたるホテルがミレニアル世代を魅了するために実施している取り組みのキーワードは「フィットネス」と「ウェルネス」だろう。

 ウェスティンホテルは2012年から、スポーツブランドのニューバランスと提携し、宿泊客にランニングシューズを5ドルで貸し出すプログラムを開始。2017年6月からは夜間ランニング用の光るリストバンドとスニーカークリップの貸し出しも始めている。

「旅行中でもランニングは欠かせない」という顧客ニーズに応える(ウェスティンホテルのWebサイトより)http://www.starwoodhotels.com/westin/index.html
「旅行中でもランニングは欠かせない」という顧客ニーズに応える(ウェスティンホテルのWebサイトより)

 ウェスティンホテルがランニングギアの貸し出しを始めた背景には、ミレニアル世代を中心とした宿泊客の多くがホテル滞在中でも健康を維持したいというニーズの高まりがある。同ホテルが世界中の宿泊客を対象に行った調査では、回答者の45%が旅行中でもランニングは欠かせないと回答しているのだ。

 宿泊客のランニングニーズを受け、現在では世界中に200人近いランニング専用コンシェルジュを配置しているという。ランニング専用コンシェルジュは、グループランニングをアレンジしたり、ホテル周辺のおすすめランニングコースを伝える役割を担っている。

 2017年6月の「世界ランニング・デイ」には、有名ランナーを招待した特別プログラムを実施するなど、ランニング好きに向けたアピールに力を入れている。メキシコのウェスティン・コスメルでは、オリンピック近代五種銅メダリスト、イスマエル・ヘルナンデス氏を起用したモーニング・ランニングを実施。ドイツのウェスティン・ハンブルクでは、有名ランナーのモウラッド・ベカッチャ氏を起用したトレーニングプログラムを実施するなどしている。

 一方、外に出るのが億劫な宿泊客向けに、部屋の中で運動できる空間を作りだしたホテルもある。

 ヒルトン・マクリーンホテルは、部屋のなかにトップアスリートもトレーニングに使用する「Wattbike」やトレーニングステーション「Gym Rax」を設置。さらに200以上のフィットネスプログラムがインストールされたタッチスクリーンも完備されており、筋力トレーニングやヨガに関するチュートリアル動画を視聴することができる。これらのサービスは、通常の宿泊費に45~90ドルを追加することで利用が可能だ。

トップアスリートから一般人までファンの多いWattbike(WattbikeのWebサイトより)http://wattcycling.jp/
トップアスリートから一般人までファンの多いWattbike(WattbikeのWebサイトより)

 ヒルトンのこの取り組みは宿泊客からの要望により実施されたという。ヒルトンのグローバル・ウェルネス部門のライアン・クラッブ氏がワシントン・ポスト紙の取材で、ヒルトン宿泊客の10~15%がフィットネスセンターを利用していることに加え、約25%が室内トレーニング設備に興味をもっていることを明らかにしている。

 また、クラッブ氏はコーネル大学の調査で、ホテル宿泊客の46%がフィットネスセンターでのトレーニングを計画するものの、実際にトレーニングを行うのは22%にとどまると指摘している。多くの宿泊客はトレーニングをしたいと考えているものの、フィットネスセンターに行くのをためらっていることを示唆している。ヒルトンホテルはそこに目をつけたことになる。

 リッツカールトンも同様の取り組みを実施している。リッツカールトン・ジョージタウンはこのほど、150万ドル(約1億6,000万円)かけて改修したスパとフィットネスセンターを再オープンした。通常の宿泊費に65~100ドル追加することで利用することができる。さらには、この改修でスパ機能を備えた部屋を13室追加したという。

 インターコンチネンタルは2014年に、ミレニアル世代をターゲットにした新ブランドホテル「EvenHotel」をオープンした。このホテルでは、大型フィットネスセンターを備えるだけでなく、各部屋にヨガマットを用意したり、健康食を提供したりと、ウェルネスをテーマにした宿泊体験で人気を呼んでいる。

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この記事の著者

細谷 元(Livit)(ホソヤ ゲン)

シンガポールを拠点にフィンテックやドローンなど先端テクノロジーに関する情報を実践を通して発信。現地ネットワークを生かしアジア新興国のリアルを伝える。Livit Singapore CTO。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/06/07 11:11 https://markezine.jp/article/detail/28267

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