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【特集】ストレスフルな社会で高まる“セルフケア”のニーズ、注目のブランドを取材

日やけ止め市場4年連続売り上げNo.1達成を支える、花王「ビオレUV」のマーケティングスキームとは?

 季節商品のマーケティングの難しさは、よく売れる期間が限られるためPDCAサイクルを回しにくいことだ。日やけ止めブランドの花王 ビオレUVもその1つだったが、同ブランドは2021年から、それを克服する新たなマーケティングスキームを導入。日やけ止め市場において4年連続の売上No.1*を維持している。本記事ではビオレUVのマーケティング活動について、ブランドマネジャーを務める小林達郎氏にうかがった。*インテージSRI+日焼け止め市場2020年9月~2024年8月累計販売金額&数量

スキンケア習慣を社会に根付かせる。ビオレUVが目指す紫外線対策

MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめにビオレUVのブランドについてご紹介いただけますか。

小林:ビオレは1980年に洗顔フォームから始まり、その時々の社会のニーズに応じて新しいスキンケア習慣を提案してきたブランドです。「ビオレUV」もその一環で、1996年の発売以来、紫外線対策習慣の定着を目指して新しい価値提案を続けてきました。

花王株式会社 スキンケア事業部 ブランドマネジャー 小林 達郎氏
花王株式会社 スキンケア事業部 ブランドマネジャー 小林 達郎氏

 ビオレがブランド開始以来、大切にしてきた姿勢は3つあります。1つ目は「Universal」で、誰でもどこでも使いやすいこと。2つ目は「Tangible」で、使ってすぐに効果を感じられること。これは製品づくりへのこだわりです。そして3つ目は「Activities」、つまり習慣づくりのための継続的な啓発活動です。

 また、近年大切にしているのは、紫外線や大気汚染、気温変化などの外的要因から肌を守る「環境ストレスケア」への対応です。スキンケアを通じて、すべての人が人間らしく生きる実感を持てる社会を目指しています。

日やけ止めへの意識変化とそれを捉えた商品提案

MZ:近年、日差しが強くなり紫外線対策をすることが当たり前になってきていると感じます。日やけ止めに対する生活者の認識の変化をどう捉えていますか?

小林:1960~90年代は日光浴が健康に良いと推奨されていましたが、2000年頃から美白ブームや紫外線の悪影響が注目され、日やけ止めの必要性が認識されるようになりました。ただ当初は、アウトドアなどで使う「オケージョナル」なアイテムという位置づけでした。

 その後、2009年以降は猛暑化し、また素肌感に近いエッセンスタイプなど、ライトなテクスチャーの日やけ止め提案により、日常的に使う習慣が広がっていきました。さらに2010年代後半にはトーンアップ機能が人気となり、日やけ止めを塗ること自体がポジティブな行為と捉えられるようになりました。さらに、近年では紫外線は美容の問題にとどまらず、多くの方の関心事項となり多様な対策が広く浸透しています。

MZ:日やけ止め市場の特徴についても教えてください。

小林:日やけ止めはPDCAが回しにくい市場です。というのも、気候など外部要因による変化が激しく、しかもよく売れる期間は主に春と夏に偏っています。年間を通じてPDCAを回していこうとしても、DOとCHECKをする期間が春と夏しかないわけです。言い換えると、新しいチャレンジに対するリスクが大きい市場と言えますが、ビオレUVはそれを克服するための活動を続けてきました。

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ヒットを支えるビオレUVのマーケティングスキームとは?

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この記事の著者

こまき あゆこ(コマキ アユコ)

ライター。AI開発を行う会社のbizdevとして働きながら、ライティング業・大学院で研究活動をしています。
連絡先: komakiayuko@gmail.com

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/17 09:30 https://markezine.jp/article/detail/49324

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