ヒットを支えるビオレUVのマーケティングスキームとは?
MZ:ビオレUVのPDCAを支えるマーケティングスキームについて詳しく教えてください。
小林:ビオレUVが2021年から導入しているのは、先行販売と全国販売を二段構えで行うスキームです。初年度の先行販売では、小さな失敗を許容しながら大胆なチャレンジを行い、2年目以降の全国販売においてその成果を最大限活かせるように、高速でPDCAを回していきます。
MZ:初年度と2年目以降でどのようなことを行うのですか?
小林:初年度の先行販売では、売れ行きのチェックや品質面の課題確認、さらには美容感度の高いインフルエンサーの方々における話題化の推進、あるいは店頭でのいろいろな訴求や陳列パターンの検証を行います。
そして2年目以降の全国販売においては、初年度で得た成果を最大限に活用し、需給精度向上による欠品の防止、製品の改良効果でより高い満足の提供、クチコミを活用した話題作り、効果的な店頭展開の水平展開を進めます。
先行販売という新たなスキームを通じて、素早くPDCAのサイクルを回すことができるのは、流通企業であるマツキヨココカラ&カンパニー(以下、マツキヨココカラ)さんにパートナーとなっていただけたことが大きなポイントです。同時に常にスピード感を持って、お客様の声を収集・分析し、訴求や商品改善に直結させていく弊社の関連部門の協力があったからだと思っています。
MZ:このマーケティングスキームを適用した商品の事例について、お聞かせください。
小林:代表的なものに、2023年2月11日に全国発売した『アクアリッチ アクアプロテクトミスト』(通称「瞬感ミストUV」)があります。この商品は初年度、外出先での塗り直し需要を見込んで販売しましたが、購入したお客様の声から、髪にも使っている人が多いことがわかりました。そこで髪への使用も訴求ポイントとし、売り場もヘアケアコーナーへと展開。これにより全国発売時には新たな売り方が確立できました。先行販売では計画の3倍売れ、一時欠品するほどの反響でした。この結果を受けて、全国発売に向けて増産体制も構築しました。

また、2025年2月8日に全国発売の『アクアリッチ ウォータリーホールドクリーム 』(通称、「水肌記憶UV」)も同様にPDCAがうまく機能しました。紫外線吸収剤フリーでありながら高いUV効果とみずみずしい使用感を実現し、先行販売時にはSNSで話題になるなど大ヒットしました。ただし、一部のお客様から、香りに対するご意見をいただき、それを基に関連部門と協力しながら改良を進め、全国発売時にはお客様の満足度を高められる商品とすることができました。

この「水肌記憶UV」についてはもう1つ、紫外線対策は1年中必要ということで、先行販売のタイミングで、秋冬にも店頭プロモーションをしっかりかけていきました。その結果、秋冬期のビオレUV販売金額は前年比120%と、大きな成果を得ることができました。
小林:さらに、紫外線量や気温など、過酷化する環境変化を意識し、蒸し暑い屋外もドライな室内も、どんな環境でも快適に肌を守り抜く、新しい日やけ止めも提案しています。それが今年限定発売した『アクアリッチ エアリーホールドクリーム』(通称「呼吸感ベールUV」)という商品です。
2025年3月8日から一部チェーン、ECサイトで限定発売していますが、SNS上では「まるでエアコンの話みたい」「日やけ止めの概念が変わった」と話題になり、計画の1.4倍ものセルアウトを記録しました。商品を話題化させる手法についても、2021年から続けてきた取り組みの中で進化しており、その成果が出ていると考えています。
